なかなか減らない長時間労働!
その原因と効果的な対策とは?

公開日:2023 / 5 / 31

ワーク・ライフ・バランスが叫ばれる昨今、従業員の長時間労働に頭を悩ませている企業関係者の方も多いことでしょう。長時間労働を放置すると、従業員の健康を害し、最悪の場合には過労死に至るケースもあります。そうなると、会社が多大な賠償責任を負うリスクがあります。今回は、そもそもどういった状況が長時間労働とされるのか、長時間労働が減らない原因や抑制するための対策をお伝えします。

長時間労働とは

長時間労働には法律上の定義はありませんが、一般的には週40時間を超えれば長時間労働と言ってよいでしょう。なぜなら、会社が従業員に対して週40時間を超える労働をさせるためには、36協定という特別の協定が必要となっており(労働基準法第36条)、労働基準法では週40時間を超える労働を特別な事態と考えていると言えるからです。

さらに、週40時間を超えて以下のような労働状況になると、過労死の可能性が高くなります(過労死ライン)。

  • 1ヵ月当たりの時間外労働が80時間を超え、2~6ヵ月のうちに精神障害を発症
  • 1ヵ月当たりの時間外労働が100時間を超え、1ヵ月後に精神障害を発症

出典:脳・心臓疾患の労災認定(厚生労働省(令和3年9月改訂))
このラインを超えると、精神障害だけでなく脳や心臓疾患のリスクが高まり、過労死につながる恐れがあります。

長時間労働の実態と減らない原因

日本は長時間労働をしている従業員が多い傾向にあります。厚生労働省の資料によると、週の労働時間が49時間以上の日本人労働者の割合は15.1%(男性21.7%、女性6.9%)でした(「令和4年版過労死等防止対策白書」)。韓国が18.4%で首位ですが、日本は2位となっています(以下、3位:アメリカ14.6%、4位:イギリス11.4%、5位:フランス8.5%、6位:ドイツ5.7%)。上記の統計に見られるように、男性に至っては約5人に1人が長時間労働に陥っています。それにもかかわらず長時間労働が減らない原因は、主に以下の3つにあると考えられます。

  人員が足りない

業務が多すぎて人手が足りず、労働基準法で定める1人当たり週40時間以内では、全ての仕事をこなせないケースです。

  従業員の意識が低い

従業員の一部には、残業代のために日中はダラダラ働き、あえて残業する人も存在するかもしれません。そのような従業員は業務効率化に対する意識が低く、また、そうした意識が周りに伝染してしまい、長時間労働が企業の風土として常態化しているケースもあります。

  上司のマネジメント不足

部下の残業の実態(業務量や進捗状況)を上司が可視化できていないケースです。部下の残業を可視化できなければ、部下が心身に不調を来し、不満が頂点に達するまで長時間労働が継続することになります。その結果、優秀な人材が休職したり離職したりしてしまう恐れがあります。

長時間労働対策をしなかった場合に想定されるリスク

  法律違反

2019年に労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制が厳しくなりました(中小企業は2020年4月から導入)。規制内容は以下のとおりです。

  • 原則 月45時間、年360時間まで
  • 臨時的な特別な事情があり労使が合意する場合でもこれを超えることはできない
  • 年720時間以内
  • 複数月平均が全て80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えられるのは年に6ヵ月まで

改正前は労使合意があれば上限のない時間外労働が可能でしたが、改正後は無制限の時間外労働や休日労働は認められなくなりました。規制に違反した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科される恐れがあります。

  生産性の低下

労働基準法が原則として1日8時間を限度と規定していることからも分かるように(第32条2項)、ダラダラと仕事に取り組むのではなく、この時間までに終わらせるという意思のもとで集中した方が、生産性は上がります。

  離職率の上昇

長時間労働が常態化すると、従業員が離職してしまう可能性が高まります。転職がマイナスイメージだったのは過去の話で、優秀な人材はより条件の良い職場を求める傾向にあります。また、従業員が辞めると、残った人員で業務をこなす必要があるため、さらなる長時間労働を引き起こすという負のスパイラルに陥ってしまう恐れがあります。また、離職率の高い会社は求職者からも敬遠される傾向にあり、優秀な人材を招き入れる機会も減少することになります。

  従業員の健康状態悪化

長時間労働が常態化すると、従業員がうつ病などに罹患する恐れがあり、最悪の場合、過労死の危険性もあります。上述したとおり、1ヵ月当たりの時間外労働が80時間を超えると過労死の恐れがあるため、月の稼働日が20日で1日4時間以上の残業が常態化している会社では注意が必要です。

長時間労働が原因で従業員がうつ病となったり自殺してしまったりした場合、安全配慮義務に違反したことを理由として、会社に賠償責任が発生します。安全配慮義務については下記に引用したとおり、労働契約法に規定されています。

“使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をするものとする。“

引用:労働契約法第5条 安全配慮義務

  企業イメージの低下

「あそこは離職率が高い会社だ」「うつ病になる人が多いらしい」などの情報が出回れば、企業イメージが低下することは避けられません。SNSで拡散されてしまうと、以後の採用活動が相当難しくなる可能性があるでしょう。

長時間労働対策

  有給休暇を積極的に取ってもらう

疲れる前に休んでもらうことも大事です。労働基準法が改正され、2019年4月からは全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、会社が時期を指定して取得させることが義務付けられています。

  産業医を置く

従業員の健康管理を担う産業医や衛生管理者を選任することも効果的な対策です。産業医は、医学的な見地から従業員が健康で快適な環境で働けるよう指導・助言をします。

常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わなければならないこととなっています。

  従業員と会社の意識を変える

長時間労働を賞賛するような企業風土があるなら、それを変えましょう。短時間で成果を上げた従業員を評価するようにすれば、仕事にめりはりをつけて取り組んでもらえますし、仕事が終わったときに帰りやすい雰囲気も自然につくり出せます。これは意識改革と言えるでしょう。

  労働時間を把握する

従業員の労働時間や抱えているタスクの量を把握できれば、不要な残業を可視化できます。そうすれば、不要な残業を削ることで長時間労働を抑制できます。この点については、労務管理ツールを使用したり、チャットツールを使って積極的にコミュニケーションをとったりすることで、管理が可能です。

  人員を増やす

人員を増やすには募集から採用に至るまでに多大なコストがかかるため、現在の人員で効率的に仕事を進められるのであればそれに越したことはありません。ただ、上記の対策をしてもまだ不十分という場合は、増員も検討しましょう。

まとめ

社員の自主性に任せていては長時間労働を抑制することは困難です。まずは客観的に従業員の労働時間を可視化することが大切です。何にどれだけの時間を割いているかを確認し、無駄な業務時間を削減していくことで、長時間労働を抑制することが可能となります。

労働時間はツールを用いて効率的に管理することが可能です。ぜひともChronowisをご検討ください。

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