時間外労働の上限規制とは?
複雑な改正後の変更点や注意点、対策方法を解説

公開日:2023 / 7 / 26

2019年4月、働き方改革の一環として時間外労働に上限規制が設けられました。大多数の企業はすでに対策を講じていますが、それでもまだ多くの企業では長時間残業が減っているとはいえない状況なのではないでしょうか。

企業が時間外労働の上限規制に抵触しないためには、法令の改正内容をあらためて確認し、認識を新たにする必要があります。同時に、従業員の意識改革も行わなくてはいけません。本記事では時間外労働について、概要や改正内容、改正後の注意点やITツール活用の対策方法を解説します。

時間外労働の上限規制とは?

時間外労働の上限規制とは、「労働者に労働させることができる時間外労働時間は原則として月45時間・年360時間まで」とする規制で、2019年4月に導入されました(中小企業へは2020年4月から適用)。

導入以前にも同様の基準は存在していましたが、厚生労働大臣の告示であったために、抵触しても法律違反にはならず、強制力はありませんでした。現在は、働き方改革関連法案に伴う労働基準法の改正により、法的拘束力のある規則として運用されています。

  上限規制の変更点

時間外労働の上限規制が設けられる以前は、企業は従業員に無制限に時間外労働を行わせることができていました。特別な事情がある場合には、労働基準法第36条に基づく特別条項付きの労使協定(36協定)の締結・届け出により、法定労働時間を超えての時間外労働が認められていたのです。

しかし、2019年4月以降は、時間外労働の上限規制が設けられたことにより、原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働は認められなくなりました。臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、休日労働と合わせて月100時間未満、休日労働との合計の2~6ヵ月平均は80時間未満、時間外労働が45時間を超える月は年6回までしか認められないなど、複雑な複合条件を満たさなければなりません。

改正前改正後
厚生労働大臣告示による上限 労働基準法による上限
特別条項付きの36協定締結によって上限なく時間外労働が可能

原則として
月45時間・年360時間

臨時的な特別の事情があり、かつ労使が合意する場合

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計の2~6ヵ月平均は80時間以内
  • 時間外労働が45時間を超える月は年6ヵ月まで
罰則なし 罰則あり(6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

時間外労働の上限規制では、時間外労働時間のみでなく、休日労働時間との合計、休日労働時間との合計の2~6ヵ月平均時間、月45時間を超える月数に上限が設けられている点に注意しなければなりません。例えば、1ヵ月の時間外労働時間が45時間以内に収まっている場合でも、休日労働時間と合わせて100時間以上である場合には上限規制に抵触します。

例)
1ヵ月の時間外労働時間が44時間、休日労働時間56時間の場合

合わせて100時間となり、時間外労働の上限規制に抵触
このように、上限規制として設けられている各項目に抵触しないよう、企業は細やかな労働時間管理を厳格に行う必要があるのです。

時間外労働上限規制の対象企業と業種について

時間外労働の上限規制は2019年4月1日から導入されましたが、適用時期は事業規模や業種によって異なります。大企業へは2019年4月1日から適用されましたが、中小企業には1年間の猶予期間が与えられ、2020年4月からの適用となりました。

また、自動車運転の業務や建設事業、医師、鹿児島県と沖縄県における砂糖製造業に対しては5年間の猶予期間が設けられ、2024年4月1日からの適用となっています。

対象企業 適用開始時期
大企業

2019年4月1日~

中小企業 2020年4月1日~
建設事業 2024年4月1日~(一部の内容は適用されない)
自動車運転の業務 2024年4月1日~
(一部の内容は適用されない
特別条項付き36協定を締結する場合は年960時間が上限)
医師 2024年4月1日~(具体的な上限時間は省令で定める)
鹿児島県と沖縄県における砂糖製造業 2024年4月1日~

時間外労働上限規制の罰則と悪影響

従業員に時間外労働の上限規制を超えた時間外労働・休日労働をさせると、法律違反となり罰則が科せられる可能性があります。また、企業や従業員への悪影響も大きいため注意が必要です。

  時間外労働上限規制違反に対する罰則

時間外労働の上限規制に違反した場合の罰則は以下のとおりです。

  • 労働基準法違反
    6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金

    罰則が科せられない場合でも、企業名が公表されたり、監督官庁から是正のための指導を受けたりする可能性があります。

  時間外労働上限規制違反による悪影響

時間外労働の上限規制に違反すると、以下の悪影響があると考えられます。

  • 企業イメージの低下

    長時間労働は、過労死や自殺、心臓・脳血管・精神的疾患などの発症を引き起こす要因となることから、是正が必要とされています。こうした問題に対して無関心で、取り組みを行わない企業は、社会的責任を果たしていないと認識されるでしょう。

    企業イメージの低下から、取引先に良くないイメージを持たれるといった対外的な問題も発生します。

  • 従業員のモチベーションが低下

    長時間労働が生じる原因のひとつに、好ましくない労働環境が挙げられます。多忙からコミュニケーション不足になり、職場の人間関係が悪化します。その結果、業務効率が低下して、従業員のモチベーションが下がるおそれもあります。

  • 離職者の増加

    時間外労働が上限規制違反となるような好ましくない職場環境では、長時間労働が常態化していると考えられます。当然、働きやすい職場ではないため、離職者が増えます。また、上司と部下の間で十分なコミュニケーションがとれていない環境では、急な離職者が生じることも多いでしょう。そうなると、突発的に人員が減り、残された従業員の負担がさらに増すという悪循環になるおそれもあります。

時間外労働上限規制の対策方法

時間外労働の上限を超えないようにするためには、次のような対策が効果的です。

  啓蒙活動を行う

時間外労働の上限規制を守るためには、長時間働いたほうがよいという考え方をなくすことが求められます。例えば、労使双方による労働時間について話し合いの機会を設ける、管理職向けに長時間労働によるリスク教育を行う、定時退社日を設定するなどの啓蒙活動により、労働時間を管理する側、管理される側が同じ意識を持ち、労働時間短縮を目指すことが大切です。

  自社に適した労働時間制を導入する

変形労働時間制の導入には、労働時間を短縮する効果があります。変形労働時間制には、フレックスタイム制をはじめとして、1ヵ月単位または1年単位の変形労働時間制などがあります。適した変形労働時間制があれば積極的に導入を検討するとよいでしょう。

  ITツールを活用する

時間外労働時間が上限規制を超えないようにするためには、各従業員がどれだけ時間外労働、休日労働をしているのかを正確に把握しなければなりません。勤務時間を把握する手段として、従来はタイムカードに打刻したり、出勤簿に記入したりする方法が多く用いられてきました。しかし、こうした方法では記入間違いや集計ミス、不正申告などが発生するおそれがあり、正確性を欠きます。

そこで、勤怠管理システムと併用して長時間労働が抑制できるようなITツールを用いれば、労働時間の正確な把握と働きすぎやコンプライアンス違反を未然に防止することが可能になります。月の途中でも合計労働時間がわかるため、長時間労働をしている従業員に対して注意を促せ、労働時間の短縮につながります。

時間外労働の規制内容を理解して複雑な上限規制に対応しよう

2019年4月(中小企業は2020年4月)より、時間外労働に上限規制が設けられました。上限時間を超えると罰則が科せられるおそれがあり、事業活動への悪影響も予想されます。そのため企業は、労働時間の見直し、自社に適した労働時間制を導入するなどの対策を講じる必要があります。

対策のひとつとして、勤怠管理システムとの連携によりサービス残業を確認できたり、残業・休日労働時に時間外労働であることを通知したり、労働時間が一定を過ぎるとPCを強制終了したりするようなITツールの活用が効果的です。適切に労働時間を管理でき、規制に抵触しそうな場合には従業員に労働時間の超過を警告する機能もあるため、複雑な複合条件がある時間外労働の上限規制にも対応できるでしょう。

長時間労働抑止システム「Chronowis」は、業務時間外のパソコン利用をポップアップやシャットダウンで制限でき、時間外労働を抑制できます。また、36協定や36協定特別条項で定められた各上限値を設定することで、ポップアップメッセージ表示やパソコンの強制シャットダウンができ、36協定違反を未然に防止できます。

ほかにも、稼働実績の確認や、勤怠システムとの連携など、さまざまなお役立ち機能があります。時間外労働の上限規制にお悩みの方は、ぜひ一度導入を検討してはいかがでしょうか。

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