残業

過重労働とは?法律改正による変更点や企業のリスク対策を解説

公開日:2023 / 10 / 27更新日:2024 / 1 / 18

過重労働は従業員に、身体的にも精神的にも大きな負担になります。日常的な長時間の残業が主な原因とされているため、働き方改革により時間外・休日労働時間の削減が進められてきました。

従業員の健康を守るために、企業には過重労働のもたらす悪影響を把握し、十分な対策を講じることが求められています。しかし、過重労働とは何か、どのような対策をすればいいのかを十分理解していない企業も少なくありません。

そこで本記事では、過重労働の定義や過重労働のリスク対策について解説します。

過重労働とは?

2019年4月から働き方改革関連法が施行され、労働時間に対して法的強制力をもった規制がなされるようになりました。時間外・休日労働時間の削減や、労働者の健康管理を徹底させるために、2002年に厚生労働省が策定した「過重労働による健康障害防止のための総合対策」も、働き方改革関連法施行に伴う労働基準法や労働安全衛生法の改正を受けて改正されています。ここでは過重労働の定義や現状について解説します。

  過重労働の定義

労働者に対して精神的・肉体的に大きな負担を強いる働き方が、過重労働に該当します。労災認定基準において「長期間の過重労働の負荷要因」に定義されており、具体的には以下のようなことが過重労働に該当します。

  • 慢性的な残業など労働時間が長い
  • 不規則勤務が度重なる
  • 出張などで移動が多い
  • 極度の緊張が続くなど心理的な負担が大きい
  • 重量物を人力で運ぶなど肉体的な負担が大きい
  • 極端な温度や騒音の中での業務を強いられる

このような過重労働は、長時間労働や過度な仕事量、休息や休暇の不足などが原因となり、労働者の健康やワークライフバランスに悪影響を及ぼす問題となっています。

  過重労働の現状

2022年4月8日、厚生労働省の労働条件分科会(第177回)資料「労働時間制度の現状等について」によると、一般労働者の総労働時間はおおむね2,000時間台で推移していましたが、2018年以降は減少傾向にあり、2021年は1,945時間となっています。

月末の業務の集中度合いを表す「月末1週間労働時間は60時間以上の雇用者数」は、2021年では290万人であり、2020年の292万人からわずかに減少しています。また、「月末1週間の労働時間が60時間以上の割合」は、2010年の9.4%から減少傾向にあり、2021年は5.0%となりました。ですが、月末に業務が集中し過重労働となっている可能性がいまだに高いと考えられます。

過重労働に対する改正法の影響

働き方改革関連法の成立・施行により関連する労働法が改正され、時間外労働時間に上限が設けられました。以前から時間外労働時間の上限規制は設けられていましたが、大臣告示であったために強制力はなく、条件を満たせば(特別条項付き36協定を締結する)、従業員に無制限に時間外労働をさせることが可能な内容でした。

しかし、改正後は従業員の時間外労働時間に法的に強制力のある上限が設けられ、違反すると労働基準法違反として6ヵ月以下の懲役または30万円の罰金が科せられます。そのため企業は、上限規制に抵触して法律に違反をしないよう、時間外労働削減に努めなければならなくなりました。

時間外労働については「時間外労働の上限規制とは?複雑な改正後の変更点や注意点、対策方法を解説」をご覧ください。

過重労働によって発生が考えられるリスク

過重労働は次のようなリスクが考えられます。

  従業員に健康障害が生じる

脳・心臓疾患の発症、うつ病発症などのメンタルの不調が従業員に生じる場合があります。これらの状態は過重労働によるストレスが主な原因です。メンタルなど精神的な疾患は治療が長引く恐れもあるため、早期の発見が求められます。加えて、過重労働による精神不調がきっかけとなる自殺にも注意が必要です。

  労災が発生する

注意力の欠如による労災事故発生といった労働災害が発生する場合があります。労災事故もまた、過重労働によるストレスが起因となる場合が多い事象です。そのため、企業は従業員の健康と安全を最優先に考えなければなりません。

また、業務中・通勤中の事故だけでなく、業務が原因と認定されれば健康障害も労災になる場合があります。他にも労災事故発生に至らないまでも、「ヒヤリハット」と呼ばれるような危険が生じるなど、企業にとって大きなリスクとなっている場合があります。

  生産性が低下する

一人ひとりのパフォーマンスが悪くなり、生産性が低下する場合があります。原因としては、過重労働による業務へのストレス、不適切な業務負荷などが挙げられます。過重労働から来る明らかな疾病に加え、普段の出社などは問題ないものの、パフォーマンスがあがらないなど隠れた過重労働の影響が出ているかもしれません。企業は表出している問題だけでなく、隠れた影響も事業運営の脅威になることを認識し、注意する必要があります。生産性の低下は企業の利益や成果にも直結するため、迅速な解決が必要です。

過重労働防止に役立つリスク対策

過重労働をさせないために、どのような対策が取れるのでしょうか。効果が期待できる過重労働防止策は、以下のものが挙げられます。

  年次有給休暇の取得を促進する

有給休暇の計画的な取得を奨励することに加え、長期休暇の前後や谷間の平日を一斉年休日に設定するなど、有給休暇の取得を企業全体で促進することで、労働時間の削減だけでなく従業員のワークライフバランスの実現につながります。従業員のモチベーション向上にもつながり、生産性の向上にも期待できるでしょう。

  意識の改善や行動変容を図る

労使双方で過重労働に対する意識の改善や、具体的な改善方針の作成、過重労働防止に向けた取り組みなどを行いましょう。両者が問題意識を持って解消に取り組むという姿勢が、従業員の安心感につながります。

  労働時間を管理するITツールを導入する

従来の紙や表計算ソフトなどアナログな方法で労働時間を管理すると、従業員は今どのくらい働いているのかを正確に確認できませんでした。ITツールを導入・活用することで、リアルタイムで従業員の労働時間を確認でき、働きすぎを抑制できるなど過重労働の防止に効果的です。

2019年4月(中小企業は2020年4月)から導入されている時間外労働の上限規制では、企業が従業員に行わせることのできる時間外労働は以下の範囲とされています。

原則

  • 月45時間、年間360時間以内(臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合)
  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満、2~6ヵ月平均は80時間未満
  • 原則である月45時間を超えられるのは年6回まで

法律違反とならないようにするためには、複数の条件に抵触していないか、それぞれの従業員の労働時間を管理する必要があります。すべての条件に問題がない状態を維持するには、紙に書いたりエクセルを用いたりするなどアナログな管理では非常に煩雑で手間がかかります。見落としやチェック漏れは法律違反・コンプライアンス違反に直結してしまうため、リスク管理の点でも危険な状態と言えるでしょう。

法律改正によって導入された時間外労働の上限規制で法律違反にならないために、効率的に管理できるITツールの導入が求められます。

長時間労働の対策については「なかなか減らない長時間労働!その原因と効果的な対策とは?」をご覧ください。

過重労働をさせないためには適正な労働時間の管理が必要

過重労働には従業員の健康を損なう恐れがある以外にも、労災事故を引き起こしたり、生産性が低下したりするなどさまざまなリスクがあります。近年の働き方改革により労働基準法が改正され、時間外労働に上限規制が設けられたことからも、企業には過重労働防止策を講じることが求められています。

そこで、過重労働を防止するための対策として、ITツールの活用がおすすめです。ITツールを活用することで、企業側が従業員の労働時間をリアルタイムで確認でき、過重労働を防止できます。

パナソニックの長時間労働防止システム「Chronowis」は、勤怠システムと連携することで、リアルタイムで従業員の労働時間を見られることはもちろん、時間外利用時のポップアップ表示や強制シャットダウン、残業時間が月間の上限値に達する前の事前通知など、さまざまなお役立ち機能で過重労働を防止できます。過重労働防止ならびに労務管理の効率化を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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