残業
残業を減らすには何が必要か?
減らない原因と削減対策を解説
公開日:2023 / 11 / 28更新日:2024 / 1 / 18
少子高齢化が進んでいることで労働力人口の減少が続いていますが、その影響は残業時間の増加にも表れています。人が少なくなったにも関わらず仕事量が変わらなければ、残業時間が増加して社員の負担は増すばかりです。では、少ない人数でも残業を減らし、生産性を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
本記事では、残業がなかなか減らない理由とその対策についてお伝えします。
残業削減が求められる背景
残業時間の削減は以前から多くの企業に求められてきましたが、近年になってその声はより大きくなっています。その背景にあるのは次のような点です。
- 社員の健康被害防止
残業時間の削減が求められる一つの理由は、残業時間が増加すると、社員の健康被害を引き起こしてしまうリスクが増大する点です。残業時間の増加は社員の体力面、精神面の両方に大きな負担がかかります。多くの企業で人手不足が問題となっている今、社員が健康被害を起こせば、企業の利益も損なってしまう可能性が高まります。
過重労働についてより詳しくは、「過重労働とは?法律改正による変更点や企業のリスク対策を解説」をご覧ください。
- 新たな人材の獲得・既存社員の維持
後述のとおり、働き方改革関連法において残業時間の上限規制が法制化されました。残業が削減されなければ法令違反となり、企業の信用が失墜してしまうリスクが高まります。そうなると新たな人材の確保が難しくなるだけではなく、既存社員の健康被害につながり、退職リスクが高まる恐れもあります。 - 時間外労働の上限規制への対応
働き方改革関連法において、大企業で2019年4月から、中小企業で2020年4月から時間外労働の上限規制が設けられています。残業時間が増加すれば、法に抵触する恐れがあるのも、残業削減が求められる大きな理由です。
残業が発生してしまう主な原因
残業時間を減らすことが重要であるにも関わらず、多くの企業ではなかなか削減できていない現実もあります。
厚生労働省が2021年8月に発表した「労働時間制度の現状等について」によると、2020年に労働時間の法違反となった企業件数は18,007件(2019年は19,493件)と若干ですが減少しています。
しかし、その中で時間外労働の上限規制に対する法違反となった企業件数は、1,664件(2019年は592件)と約2.8倍の増加です。一因として時間外労働の上限規制の対象企業増加が影響していることも考えられますが、いずれにせよ法に抵触してしまうほどの残業が発生してしまっていることは事実です。
なぜ、残業が発生してしまうのでしょうか。主な理由としては次の点が考えられます。
業務プロセスに無駄が多い
例えば必要のない社員も参加必須の会議があるなど業務を進めていくプロセスに無駄が多くあれば、当然残業時間も増加してしまいがちです。
残業しない社員よりも残業する社員が評価される
残業して業務を行っている社員のほうが残業しない社員よりも評価される、業務の質より労働時間が評価の対象になる体質が残っているのも、残業が減らない理由の一つです。
本来であれば、業務時間内に業務を終わらせるほうが高い評価を得なくてはなりません。しかし実際には業務を終わらせられずに残業している社員のほうが高い評価を得られるとなれば、どうしても残業は減りにくくなります。
専門外の業務担当になるケースがある
企業の事情はあるものの、営業部から財務部のように自身のスキルや経験に関係のない部署へ異動するケースが多いのも理由の一つです。新たにゼロから業務を覚える時間が必要となれば、残業時間の増加につながってしまうでしょう。
老朽化したシステムが刷新されていない
老朽化したシステムの刷新が行われず業務が属人化されてしまうと、特定の社員がいなければ業務が滞ってしまい、残業が増えてしまいます。
また、ペーパーレス化が進んでいないことも残業が増加する原因です。テレワークを行っている社員や営業で外出している社員が資料作成や閲覧のためだけにオフィスに足を運ばざるを得なくなり、残業につながってしまいます。
社員の勤怠管理が適切に行われていない
上司が部下の勤怠管理を適切に行っておらず、業務の進捗が把握できていない場合、仕事が遅れている社員が残業になってしまうケースがあります。部署内のコミュニケーションが低下していることも、残業時間の増加につながっている可能性があります。
テレワークでオンオフの区別がつきにくくなっている
テレワークを行う社員は、自宅作業が主となるため、業務時間外でもメールの確認や雑務などを時間外に簡単に行えてしまいます。その結果、無意識のまま残業になってしまうケースも少なくありません。
残業を減らすための対策
残業時間が減らない原因を踏まえ、残業時間を減らすには何をすべきなのか、主な対策を解説します。また、実際に残業時間削減対策を行い成功した事例もあわせて紹介します。
業務プロセスの見直しを行う
現在の業務プロセスを可視化させ、ボトルネックを見つけ出すのも残業削減に効果的です。無駄な業務はないか、必要のない会議を開催していないかなどを確認し、不要なものを整理し効率化を図っていきます。
ノー残業デーを設定する
毎週1~2回のノー残業デーを設定します。ポイントは例外をつくらないことです。例えば、定時には消灯して仕事をできない状態にする、上司から率先して退社するなどルールを形骸化させない工夫が、残業削減につながります。
異動に関するルールを見直す
異動の準備期間が短いとどうしても着任後に業務を覚える必要が生じ、残業時間も増えてしまいます。特別な事情がない限り、内示の期間を長く取り十分な準備期間を確保しましょう。業種によってはスキルや経験を重視するジョブ型に移行することで、異動そのものを減らすことも一案です。
ITツールを活用する
現行のシステムを見直し、新しいITツールを活用します。ITツールによりペーパーレス化を進め、無駄な移動を減らせるようにすることが、重要です。例えば業務の効率化を進めるツール、勤怠管理を適切に行えるツールなどの導入も有効でしょう。後者のツールでは、適切な勤怠管理と勤務時間の可視化により、残業時間を減らそうという意識も強化されます。また、この後紹介するコミュニケーションツールにより情報やナレッジを共有することは、属人化防止につながります。
残業をする際の事前申請をルールにする
残業をするには上司に事前申請をすることをルールにします。その際、明確な理由がなければ上司は残業を認めてはいけない決まりにすることが大切です。残業の判断を社員個人に任せるのではなく、上司がしっかりと管理することで残業のハードルが上がり、残業が減る可能性が高まります。
コミュニケーションツールを活用する
テレワーク中の社員ともリアルタイムで情報共有ができるよう、グループウェアやチャットツールといったコミュニケーションツールの活用も検討します。業務の進捗状況や勤怠状況が可視化でき、迅速なサポートが可能となると同時に、無意識の残業を防止することにもつながります。
残業削減のポイントは業務プロセスの見直しと効率化
時間外労働上限規制への対応のためだけでなく、社員の負担を軽減し、健康面や精神面への悪影響をなくすためにも、残業時間削減への取り組みは重要です。社員が快適かつ健康に働けるようになれば、生産性も向上し、会社の利益にもつながります。
残業を減らす対策には、業務プロセスの見直し、ノー残業デーや事前申請のルール策定などのほか、勤怠管理と業務効率化を同時に実現させるITツールの導入が極めて有効です。
ツールの一つとしておすすめしたいのが、長時間労働防止システム「Chronowis」です。日常の働きすぎを抑止するのはもちろん、時間外労働の上限規制に関する36協定にも対応しており、知らない間に法に抵触していたといったリスクを低減します。
また、社員の日々のコンディションを数値化して管理するコンディション管理機能もあり、残業時間増加による社員の体調管理も万全です。残業時間の削減にお悩みの際はぜひ、導入をご検討ください。
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