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労働時間管理の義務化とは?必要とされた背景や取り組み方、注意点について解説

公開日:2023 / 10 / 27更新日:2024 / 1 / 18

働き方改革の推進の一つに、労働時間管理の義務化があります。企業に対して従業員の労働時間を把握・管理することを求めるもので、2019年4月の労働安全衛生法改正によって、高度プロフェッショナル対象者を除くすべての労働者の労働時間の把握が事業者の義務となりました。

これにより企業は従業員の労働時間管理に対する責任を認識し、不適切である場合は是正することが求められています。そのため、今まで以上に労働時間を管理することが重要です。

そこで本記事では労働時間管理義務化に対応するための方法や注意点を解説します。

労働時間の管理義務とは?

労働時間の管理義務とは、従業員の労働時間を適切に管理することを使用者である企業に求めたものです。2019年4月の労働安全衛生法改正により、労働基準法のうち労働時間にかかる規定が適用される全ての事業場を対象に労働時間の管理が義務化されました。

労働基準法は労働時間や休日、深夜労働などに対する規定を設けていることから、使用者には従業員の労働時間を適正に把握・管理する責務があるとされてきました。しかし、実際は適正に把握・管理されていない状況が多くみられたことより、法律の規定として定められたのです。

労働時間管理が義務化された背景には、自己申告制での労働時間把握によってさまざまな問題が生じていることが挙げられます。自己申告制とは従業員が申告した時間をもって労働時間とする制度で、過少申告によって過重労働が発生したり、時間外労働時間に対する割増賃金が未払いになったりする問題が多数確認されていました。

義務化された労働時間管理では客観的な労働時間の把握が求められ、原則的には使用者が現認するかタイムカードやICカード、パソコンの使用時間などの記録による時間をもって労働時間とすることが求められています。

働き方改革や時間外労働については「働き方改革はいつから開始された?実現させるためのポイントや成功事例を紹介」をご覧ください。

労働時間を適切に管理するには

企業が労働時間を適正に把握するためには、どのように取り組めば良いでしょうか。

  法令を確認する

労働基準法では、法定労働時間を1日8時間、週40時間と定めており、法定労働時間を超えた労働時間についても上限が定められています。上限の規制は複数あり、全てにおいて抵触しないようにしなければなりません。罰則もあることに留意し、しっかりと法令を確認する必要があります。

  ITツールを導入する

労働時間の適切な管理には、ITツールの利用が効果的です。労働時間管理のツールとしてまず思い浮かぶのは、勤怠管理システムでしょう。しかし社内勤務を前提としたシステムではテレワークや直行直帰などに対応しにくく、また残業時間が自己申告になってしまうケースもあります。

社外勤務が多い場合は、勤怠管理システムに加えて業務PCの利用時間から労働時間を記録するなど、補完するシステムの導入を検討する必要があります。

例えば1ヵ月の残業時間があらかじめ設定しておいた基準時間を超えたときに警告を発するような機能を持ったITツールを導入することで、未然に法令違反を防ぎ労働時間を適正に管理できます。

勤怠管理システムのみを用いても労働時間管理は可能で、長時間労働防止に役立てることはできます。しかし勤怠管理システムは従業員の出勤時間や退勤時間を自動的に記録し、残業時間や休日出勤、有給休暇取得日数といった従業員の勤怠状況を正確に把握するためのツールです。

適切な労働時間管理の目的である長時間労働防止には、パナソニックのChronowisのようなITツールを導入すると良いでしょう。

長時間労働については「なかなか減らない長時間労働!その原因と効果的な対策とは?」をご覧ください。

労働時間を管理する際の注意点

労働時間を管理する上では、どのような点に気をつけなければいけないのでしょうか? 注意点を説明します。

  労働時間の定義を認識する

労働時間とは使用者の指揮命令下におかれている時間を指します。労働者が業務に従事する時間は指示が明示であるか黙示であるかに関わらず、労働時間としなければなりません。

はっきりとした指示がなくても残業を強要された場合などは労働時間になるため、使用者は労働時間の定義をしっかり認識する必要があります。具体的には以下のような場合を労働時間として取り扱う必要があります。

  • 使用者の指示により、業務に必要な準備(義務付けられた服装の着替え)や、業務終了後の後始末(清掃)を事業場内で行なった時間
  • 使用者の指示により、即時に業務に従事することが求められていて、待機にかかる時間
  • 使用者の指示により業務に必要な学習時間や、業務上、参加が義務付けられている研修や教育訓練の受講時間

上記以外でも、使用者の指揮命令下におかれていたと判断される時間については、労働時間と認識しなければいけません。就業規則などの規定と関係なく、労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれていたものと客観的に判断される場合は、労働時間に該当することを認識しておきましょう。

  自己申告の正確性に注意する

労働時間を適正に把握するため、原則的には以下のいずれかの方法で使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録しなければなりません。

  • 使用者が自ら現認や確認して適正に記録すること。
  • ICカード、タイムカード、PCの使用時間などを客観的な記録として確認し適正に記録すること。やむを得ず自己申告制とする場合は、以下の措置を講じる必要があります。
  • 労働者に、労働時間を正しく記録して、適正に自己申告するよう十分に説明すること。
  • 労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正運用や、講ずべき措置について十分に説明すること。
  • 自己申告の労働時間が、実際の労働時間と合致しているか、必要に応じて調査し、労働時間を補正すること。特にPC使用時間記録のデータがある場合の申告時間が著しく相違しているときは、実態調査や補整すること。
  • 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる場合、理由が適正か確認すること。休憩であり、自主的な研修や訓練、学習で労働時間ではないと報告があったとしても、使用者の指示により業務に従事していたと認められるものについては労働時間として扱うこと。
  • 自己申告できる時間外労働時間に上限を設けて、上限を超える申告は認めないなど、適正な労働時間の申告を阻害してはならないこと。

以上のような措置を講じ、正確に労働時間を管理できるようにしましょう。

労働時間の管理には適正な記録が可能なITツールがおすすめ

働き方改革の推進を目的に、労働時間を管理することが義務付けられました。これまで労働時間はあいまいに管理されていることが多く実態として不適切であったため、より適切な労働時間の管理が求められています。

そこで適正な管理のために、ITツールの導入が効果的です。例えば勤怠管理システムを用いると紙や表計算ソフトなどアナログな方法に比べて、正確で客観的な労働時間の記録・管理ができます。

しかし、社内勤務を前提とした勤怠管理システムだけでは、直行直帰やテレワークといった労働時間を正確に把握できません。勤怠管理システムを導入していても、自己申告であれば正確に労働時間を管理することは難しいでしょう。正確かつ客観的に労働時間を記録するには、勤怠管理システムとは別のITツールを導入する必要があります。

パナソニックの「Chronowis」は適正な労働時間の管理のために、PCのログイン・ログオフの記録に加え、時間外利用時のポップアップ表示や強制シャットダウンなどさまざまな長時間労働を防止する機能が搭載されています。勤怠管理システムと連携して利用できるため、より効果的な労働時間の管理が可能です。労働時間の管理をどのようなITツールで実施するか検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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