建設業 働き方改革

労働条件の明示義務とは?企業が労働者に明示すべき事項とその方法

公開日:2024 / 4 / 16

労働契約を締結する際、雇用者は労働者に対し労働条件の明示をしなければなりません。これは労働基準法で定められた義務であり、違反をすれば罰則の対象です。この義務自体は以前からあったため、これまでも問題なく対応されているかと思いますが、2024年4月から改正され明示事項が追加されることはご存じでしょうか?

今回は労働条件の明示義務について、改めて概要に触れたうえで改正により新たに追加された事項や明示する際の注意点などについてお伝えします。

労働条件の明示義務とは?2024年4月からの追加事項も紹介

労働条件の明示義務とは、労働基準法第15条により定められた雇用主が労働者に対し、労働契約締結時に賃金や労働時間、労働場所などの労働条件を明示する義務を指すものです。

この労働条件の明示義務に関して、2023年3月30日に「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」(厚生労働省令第39号)が交付・告示されました。

下表のように2024年4月1日から一部労働条件の明示事項が追加されます。

対象 明示のタイミング   新しく追加される明示事項
すべての労働者 労働契約の締結時と
有期労働契約の更新時
1. 就業場所・業務の変更の範囲
有期契約労働者 有期労働契約の
締結時と更新時
2.更新上限の有無と内容
(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)
+更新上限を新設・短縮しようとする場合、その理由をあらかじめ説明すること
無期限転換ルールに基づく
無期転換申込権が
発生する契約の更新時
3. 無期転換申込機会
無期転換後の労働条件

+無期転換後の労働条件を決定するに当たり、他の正社員などとのバランスを考慮した事項の説明に努めること

なお、無期転換ルールとは、同一の雇用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えるときは、労働者の申し込みにより、既定の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。

労働条件の明示事項

改めて、労働条件の明示事項を確認しましょう。労働基準法第15条第一項で明示が規定されている労働条件は、次の14項目です。

  1. 労働契約の期間に関する事項

  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

  3. 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項

  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項

  5. 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項

  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

  7. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項

  8. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項

  9. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

  10. 安全及び衛生に関する事項

  11. 職業訓練に関する事項

  12. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

  13. 表彰及び制裁に関する事項

  14. 休職に関する事項

1と2に関しては、派遣・契約社員やパート、アルバイトなど期間があらかじめ定められた労働契約で、労働期間満了後に改めて更新する場合があるものに限り明示します。また、7~14に関しては、雇用側がこれらに関する定めをしない場合、明示する必要はありません。

明示義務に違反した場合、労基法120条1号、121条により当該違法行為をしたもの及び事業主に対し30万以下の罰金が科せられます。

必要な明示事項を盛り込んだ労働条件通知書のひな型が、厚生労働省で用意されています。必要な場合は、下記よりダウンロードが可能です。

  労働条件の明示方法

労働条件を明示する方法に関して、1~6(5のうち昇給に関する事項は除く)に関しては書面の交付による明示が必要です。労働者側が希望した場合、FAXやメールなどを使って明示することもできます。ただし、書面として出力できるものでなければなりません。

労働条件の明示義務2024年4月からの追加事項に関する注意点

労働条件の明示について、特に2024年4月から追加される事項に関しては雇用側、労働者側での意見の食い違いによるトラブル防止のため、記載方法の注意が必要です。ここでは、新たに追加された点を中心に具体的な注意点を解説します。

  就業場所・業務の変更範囲を明確にする

就業場所については雇用直後の就業場所を記載したうえで、変更の可能性がある就業場所はすべて記載しなければなりません。例えば、全国に営業所がある場合は、「会社の定める営業所」、東京都内のみであれば、「東京都内」などと記載します。海外勤務の可能性がある場合は、その国名、テレワークの可能性がある場合は、自宅やサテライトオフィスなども含めての記載が必要です。

業務の変更範囲についても、雇用直後の業務内容を記載したうえで、「会社の定める業務」「会社内でのすべての業務」「すべての業務への配置転換あり」など、自社の事情に合わせて適切に記載します。

また、就業場所・業務に変更する可能性がない場合は、「変更なし」「雇用直後の従事すべき業務と同じ」などと記載して問題ありません。

  更新上限の新設・短縮する場合は必ず理由について説明する

有期労働契約の更新上限を新たに設置もしくは短縮する場合、契約を締結する前のタイミングで必ず理由を説明する必要があります。具体的には通算契約期間の上限を5年から3年に短縮する、更新回数上限を3回から1回に短縮するときなどです。

説明する方法は、書面で行うのが基本となります。ただし、労働者が適切に理解できる方法であれば、自由です。更新上限の延長や上限の撤廃をする場合、理由を説明する義務はありません。労働契約の内容を明確にし、労使間でのトラブルを避けるには適切に説明することが望ましいでしょう。

  無期転換申込機会は必ず明示する

無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、有期労働契約の契約期間中、無期転換の申し込みができることを書面により明示しなければなりません。また、雇用主は当該の有期契約労働者から「有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項」に関して相談を受けた際は、適切に応じられる体制の整備が必要です。

ほか、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件についても必ず書面により明示する必要があります。無期転換後に業務内容や責任範囲が変更になる場合、ほかの労働者と待遇面で均衡が図れる労働条件にするような検討が必要です。また、契約時に説明をしなくてはなりません。

改正点をしっかりと把握し、適切に労働条件の明示を

労働条件の明示義務とは、労働基準法第15条により定められた雇用主が労働者に対し、労働契約締結時に労働条件を明示する義務を指すものです。

今回の改正では、就業場所や業務の変更範囲の明示、有期契約労働者に対する無期転換ルールに関する事項などが追加されました。これは、労使間で契約内容時の誤解によるトラブルを防ぐことを重視した改正のため、雇用主側は間違いのないよう、労働条件の記載をすることが重要です。

もし、明示した労働条件と実際の業務内容が異なる場合は罰則があるため、特に新たに追加となった事項に関しては、十分に検討したうえで明示、説明するようにしましょう。

なお、明示すべき労働条件の中には、始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無などの事項も当然あります。この労働条件に反して不当な長時間労働につながらないよう、細心の注意を払はなくてはなりません。

長時間労働を抑止する対策としては、ツールの活用が有効です。例えば、長時間労働抑止システム「Chronowis」。パソコンの利用制限と稼働ログの取得により勤怠管理システムとの併用で労働時間の監視が行えるため、長時間労働の抑止が可能になります。手間をかけずに勤怠管理ができるため、管理者自身の長時間労働抑止につながるメリットもあります。

明示した労働条件を遵守するうえで、ぜひご検討ください。

長時間労働に関連する罰則については、「労働基準法違反とは?労働時間超過を含め違反の例と罰則」をぜひご覧ください。

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