2026年労働基準法改正で“14日連続勤務”がNGに!
企業が直面するリスクとは?
公開日:2025 / 12 / 24
働き方改革関連法の5年後見直し規定による検討が進められ、「14日以上の連続勤務」禁止(最大13日まで)が労働基準法へ導入される方向です。現行の4週4休の特例では、休日を前後に固めることで理論上、最長48連勤まで可能という“ねじれ”がありました。改正案はこれを是正し、2週2休へ見直し、法定休日の事前特定、勤務間インターバル(原則11時間)義務化などをセットで進める構想です。企業は就業規則・シフト・勤怠の全面点検を怠ると、是正勧告・労災・採用力低下のリスクに直面します。
1. 過去の状況:なぜ長期連勤が可能だったのか?
4週4休制とは何か(制度の仕組み・根拠・“ねじれ”の発生源)から紐解いていきましょう
(1)制度の根拠:
労基法35条は「毎週少なくとも1日の休日」を義務づける一方、特例として「4週間を通じて4日以上の休日」(通称4週4休)を認めています。就業規則で起算日を定め、特定の4週間に計4日休日があればよいという運用が可能でした。
(2)長期連勤が成立する理由:
休日を期間の前後に集中配置すると、中間に長い連続勤務が入り込む構造になります。極端な例では、第1週冒頭の4連休+第8週末の4連休という配置で、中間48日連続勤務が成立します(理論上)。
(3)健康リスクとの“ねじれ”:
一方で精神障害の労災認定基準では、「2週間(14日)以上の連続勤務」が強い心理的負荷の一つと位置付けられており、法形式上はOKでも健康面では危険というギャップが続いていました。
2. 改正後どうなる?最大13日制限の詳細
本改正は、連続勤務の上限を“13日”へ制限し、4週4休の特例運用の見直し、休日の事前特定義務化、勤務間インターバル(原則11時間)義務化などをセットで進める方向性です。現時点では提言段階であり、条文・施行時期は確定前ですが、企業実務上の準備は今から始めておきましょう。
(1)連続勤務の上限:
- 連続勤務は最大13日まで(14日以上禁止)。2週間の中で少なくとも2日の休日を確保する考え方に揃えます。
- 36協定の休日労働を設定していても、上限延長の抜け道にはならない方向が示されています(提言)。
(2)休日の事前特定義務化:
- 企業は「法定休日はこの日」を事前に特定・明示(就業規則・勤務表・シフト表)する必要が生じます。
- 法定休日労働の割増(135%)の適用関係が明確になり、代休・振替の扱いも指導対象として整合性が求められます。
(3)勤務間インターバル義務化(原則11時間):
- 終業から次の始業まで連続11時間の休息を義務化する方向です(2025年時点は努力義務)。
夜23時終業→翌10時始業など、翌日の出社可能時刻が後ろ倒しになるため、シフト設計の再構築が必要です。(例外、代替措置の設計も審議対象)
(4)適用範囲・例外の考え方:
- 医療・運輸などは例外規定(完全免除ではなく代替措置)検討中。
- 管理監督者・裁量労働も健康確保の観点から原則適用する運用が推奨されています(最終基準は公表後に確認)。
(5)実務インパクト:どこが変わる?:
- シフト制・交代制・夜勤の現場は、連続勤務上限+インターバル+休日特定の三点同時管理が必須になります。
- 繁忙期の“まとめ休み”は原則困難になり、休日分散設計が必要。人員計画(採用・外注・ローテ変更)にも影響します。
注:上記は2025年の公表資料・専門家解説に基づくまとめです。正式条文・施行期日は厚生労働省の官報・告示などで必ず最新確認をお願いします。
3. 違反した場合のリスク
(1)是正勧告・罰則リスク:
14連勤など上限超過が確認されれば、監督指導の重点項目として是正対象に。休日割増やインターバル未確保も複合指摘の可能性。
(2)労災認定・訴訟リスク:
長期連勤は労災の心理的負荷要因に該当し、損害賠償・安全配慮義務違反の主張が強まりやすい。
(3)レピュテーション・採用難:
法令未対応は企業イメージ毀損・応募減につながり、採用単価上昇・早期離職の誘因にも。
4. 準備すべきポイント
(1)就業規則の条文化:
- 「連続勤務上限(13日)」、「法定休日の特定」、「勤務間インターバル(11時間)」、代休/振替の運用基準を明記。
(2)勤怠・シフトのシステム対応:
- 連続勤務検知、休日不足アラート、夜勤跨ぎ判定、インターバル不足検知を設定
(3)現状の“見える化”:
- 1~3ヵ月分の勤務実績で、10日以上連勤の箇所、夜勤明け勤務、オンコールで休日消滅などを洗い出し。
(4)繁閑対応・要員計画:
- 営業時間の見直し、休日分散、ローテ再設計、代替要員のプール化。
(5)管理職・シフト担当研修:
- 休日特定の意味、代休/振替の違い、インターバルの扱い、違反時の影響を共有。
5. 注意点・落とし穴
(1)「名ばかり管理職」も対象:
労働時間規制の適用外でも、健康確保の観点から連続勤務は抑制対象。実態次第では未払い残業など他の論点へ波及。
(2)振替休日と代休の混同:
事前振替は休日労働に当たらないが、事後代休は休日労働として割増対象。記録の厳密運用が鍵。
(3)夜勤跨ぎ・短時間出勤の扱い:
2~3時間の短時間勤務でも“勤務日”としてカウントされ、連続勤務日数に含まれる可能性(最終基準は公表後に確認)。
(4)オンコール・呼び出し:
休日が形骸化しやすい。記録化・輪番制・代替休日の確実付与が必要。
6. まとめ
“14連勤NG”は、健康確保・事故予防・採用力改善を同時に進める好機です。
まずは現状診断→就業規則見直し→勤怠設定→現場定着の順で、段階的に始めましょう。提言段階でも準備は先行有利です。
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