中長期戦略

※このコンテンツは、2022年6月に開催されたPanasonic Group IR Day 2022の発表内容を抜粋したものです。
掲載されている情報は 2022年6月現在のものであり、変更される可能性があります。

※このコンテンツは、2022年6月に開催されたPanasonic Group IR Day 2022の発表内容を抜粋したものです。
掲載されている情報は 2022年6月現在のものであり、変更される可能性があります。

当社の事業領域と提供価値

パナソニックは約100年間、電池のリーディングカンパニーとして様々な業界初の技術の導入を通じて、暮らしの豊かさと社会の便利さの向上に貢献してきました。その中で培った、材料開発・モノづくり・知財などの「技術力」、お客様との戦略的関係でお困りごとを解決する 「市場創出力」、「高信頼の市場実績」と「ブランド力」を強みとしています。

今後は、環境課題への貢献度が大きく、当社の強みが活きる「車載」および「産業・民生」の領域、すなわち「グリーン」と「デジタル」の領域に注力します。車載分野では、環境負荷低減に向けて電気自動車(EV)が本格普及の時期に入っており、電池需要の市場規模は大きく加速しています。産業・民生の分野では、デジタル社会の拡大によるデータ量の増大、再生可能エネルギーの有効活用など、社会インフラの電化・電動化が加速することで新たな需要が生まれています。

これらの注力領域において、当社の先端技術と多様な商品ラインアップで、CO2排出量削減、安心安全な社会インフラ構築、便利で快適なくらしの提供など、社会へのお役立ちを最大化していきます。

当社の歴史と強みの図
当社の事業領域とお役立ちの図

中長期の経営目標

中長期の持続的な成長実現に向けて、車載事業の「成長性」、産業・民生事業の「収益性」の両輪で経営を実践していきます。加えて、環境貢献の活動を通じて「持続可能な社会環境の構築」をリードしていきます。

両輪経営の実践においては、収益性をはかるEBITDA(注1)をKGIとして設定し、2026年度に向けての経営目標として、売上高は年率10%以上の成長、EBITDAは20%を目指します。2024年度に向けた中期経営目標としては、2021年度比で売上高は+2,000億円、EBITDAは+300億円の1,500億円(16%)を目標値としています。

また、環境貢献についてはカーボンフットプリント(注2)をKGIに掲げ、事業活動およびサプライチェーンで排出するCO2の削減と、資源課題への対応を進めます。2030年度の目標値は、カーボンフットプリントは半減、事業活動における商品を通じたCO2削減貢献量は21年度比5倍の6,000万トン とし、その達成に向けて取り組みを進めています。

(注1)EBITDA:営業利益+減価償却費
(注2)カーボンフットプリント:原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2換算で表した数字

経営目標のグラフ、両輪での経営、環境貢献の図
経営目標(24年度)、環境目標(30年度)の図

車載事業の戦略

当社には、円筒形リチウムイオン電池を現在までに累計100億セル以上供給してきた実績があります。2008年に1865サイズ、2017年に2170サイズの車載電池の量産を開始し、これまでにEV換算で170万台分を供給。北米シェア1位を維持しています。また、メーカーとして当然のことながら、安全性に対する高い意識を持ち、これまでに電池起因のリコールは発生していません。

技術進化の歴史を振り返ると、当社は車載リチウムイオン電池の先端技術の先駆者として、円筒形電池のプラットフォーム開発や高容量化において常に業界をリードしてきました。今後も圧倒的な技術力で、既存の2170サイズの更なる進化と、4680サイズの新たな開発によって、EVの進化・普及に貢献できると考えています。

車載事業の戦略としては、当社の強みである高容量が活き、かつ、既に強い事業基盤を有している北米市場に注力していきます。そして、実績のある2170サイズの拡販と、新開発の4680サイズの事業化を先行させ、事業基盤の強化を図ります。車載電池の生産能力は、お客様からの旺盛な需要にお応えしていくため、北米を中心に、28年度にかけて約3~4倍へ拡大を目指します。

出荷実績(~2021)のグラフ、車載リチウムイオン電池技術の進化の図
地域戦略のグラフ、商品・顧客戦略の図

産業・民生事業の戦略

産業・民生事業では、デジタル化・電動化に向かう社会変革を、当社の高安全・高信頼の技術で促進し、また、セル技術をコアとした応用システムによってお役立ちの領域を拡大していきます。

現在、データセンターなどの情報通信インフラにおいて、24時間/365日の稼働やデータ保全のニーズが高まっていますが、当社は高信頼かつ安全・長寿命のバックアップ電源システムを提供し、高い市場シェアを有しています。アシスト自転車や、将来的に電動化が見込まれる建機・農機などを含む動力機器向けには、お客様と協力して、最適な電池パックやシステムを開発・提供していきます。幅広い使用環境・条件への対応と長期信頼性が必要とされるスマートメータや医療機器などのIoT機器向けには、信頼性の高い一次電池で貢献します。

供給体制については、インフラ・動力向けは徳島工場で最適化したセルを生産し、メキシコ工場ではパック・モジュールの組立能力を増強していきます。IoT機器向けには、中国無錫工場に新棟を建設してリチウム一次電池を増産するほか、将来にわたって供給責任を果たすために大阪の二色の浜に乾電池の新規工場を立ち上げます。また、これまでのセル単品ビジネスからパック・モジュールでのビジネスへとシフトを進めてきましたが、今後は更に用途拡大とレイヤーアップをはかり、提供価値の最大化に取り組んでいきます。

このように車載事業とは異なる進化によって、産業・民生というもう一つの事業の柱をしっかりと育てていきます。

事業機会と商品の図
供給体制の強化と提供価値の最大化の図

環境貢献への取り組み

電池のカーボンフットプリントの内、当社の製造工程で排出されているものは14%、その他86%は川上側で発生しています。特に資源採掘、原料加工におけるCO2の排出が大きく、リサイクル材の活用やレアメタルの使用削減は必須と考えます。自社のカーボンニュートラル化はもちろん、川上側の本質的な対応を進め、2030年にカーボンフットプリントの半減を目指します。

その活動の一例である、自社工場のカーボンニュートラル化については、2021年時点で既に20拠点中 5拠点で達成しており、24年には全ての乾電池工場、25年には国内全拠点、そして28年にはグローバル全拠点で達成していきます。また、レアメタル使用量の削減についても引き続き開発を進めます。レアメタルは鉱物中に含まれる量が少なく、その精製の際にCO2を排出するため、使用量を削減することはダイレクトにCO2削減につながります。既にコバルトフリー技術の開発は完了し、現在はニッケル比率を大きく削減した正極の開発を進めています。そして、低カーボンフットプリントのサプライチェーンの確立に向けては、プロセス開発やリサイクルにおいて、積極的に外部連携を進め、最も効果の高い対策を検討していきます。

2030年にカーボンフットプリント半減の図
生産工場のカーボンニュートラル、レアメタル使用削減、低CFPサプライチェーン確立の図