労務管理

労務管理における3つの課題と解決するための対策とは?

公開日:2023 / 11 / 28更新日:2024 / 1 / 18

既存社員が快適に働けて高い生産性を得るには、労働環境の改善が欠かせません。しかし、ひと口に労働環境の改善といっても課題は多く、それぞれに適切に対応しないと社員のモチベーションは上がらず、生産性も下がってしまうでしょう。そこで重要になるのが、労務管理です。労働条件や待遇、労働時間などを管理する労務管理は、適切な雇用の実現や長時間労働の防止などに直結することから、労働環境の改善に大きく影響します。

本記事では、まず労務管理の概要と、労務管理の目的の一つが労働環境の改善であることを紹介します。その後多くの企業で労務管理の課題となる「雇用形態の多様化」「適切な労働時間管理」「テレワーク対応」の解決策をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

労務管理とは?

労務管理とは、企業が社員に対し労働条件の整備や維持、改善、就業規則の策定、保険手続き、労働時間などを管理する業務を指すものです。社員の採用や異動・配置、評価、育成などが含まれる場合もありますが、これらは厳密には人事管理であり労務管理とは異なります。

  労務管理の主な業務

労務管理の主な業務は次のとおりです。

  • 労働契約管理
    労働契約の締結や更新、変更などの管理を行います。その際、雇用条件の明確化など労働基準法に準拠しなければなりません。そのためにも、適切な契約書の作成と保管などが重要になります。
  • 労働時間と出勤管理
    社員の勤務時間、休暇、休業日、残業などの管理も重要な業務です。具体的には勤怠管理システムの導入と監視、タイムシートの作成と管理、休暇や休業のリクエストと承認の管理などを行います。
  • 賃金・給与管理
    社員の賃金や給与、手当、ボーナスなどの支払い管理です。給与計算、源泉徴収、社会保険料の管理、給与明細の作成と配布などのことです。
  • 労働法と規制の遵守
    労働法や労働規制に関する遵守事項の実施も重要です。労働契約の適正な作成と維持、最低賃金の遵守、福利厚生の調整、労働時間や休暇の法定要件の守備、雇用主の義務と責任の遵守などです。
  • 労使関係の調整
    社員とのコミュニケーションを促進し、労使関係の調和と問題の解決支援も労務管理に入ります。具体的には、社員の要望や苦情の受け付けと処理、労働組合との交渉や対話、不適切な環境の改善・整備などがあります。

  労務管理の重要性

企業が労務管理を行う目的は、大きく二つあります。一つには就業規則や法令を遵守させることで企業の社会的責任を果たすことです。

二つ目が、適切な労働時間や休日の確保、労働に見合った報酬など、社員の労働環境を改善することです。労働環境が整備されると、社員は快適に安全に働けるようになります。快適で安全に働ける環境が約束されると、社員一人ひとりが安心して自身の業務に集中することができ、生産性向上にもつながっていきます。また社員満足度の向上により、離職率低下も見込めるでしょう。

労働環境を整備することで生産性が向上し、人材不足解消も期待できるのです。逆に言うと、企業が継続的に成長を続けていくためには、労働環境の改善が必須です。

このことから、企業にとって労務管理をしっかり行うことの重要性がわかります。

労務管理における3つの課題

労務管理をスムーズに行うには、いくつかの課題があります。そのなかでも多くの企業が抱えているのは次の3点です。

  雇用形態の多様化

従来、企業の雇用形態といえば正規雇用の社員のほか、非正規雇用のアルバイト・パート、派遣社員、契約社員など大きく二分されていました。しかし、近年は短時間正社員、業務委託などさらに細分化が進んでいます。そのため、労務管理担当者は、それぞれの雇用形態に即した就業規則を新たに策定しなければなりません。

また、下請法や同一労働同一賃金、副業・兼業など雇用形態の多様化に合わせ、多くの法律が改正されています。そのため、法令遵守の側面からも労務管理担当者の業務はより複雑化し、手間がかかるようになったことは、大きな課題といえるでしょう。

  適切な労働時間管理

2019年4月からは大企業、2020年4月からは中小企業において、時間外労働の上限規制が開始し、2024年からはこれまで猶予されていた建設事業や医師なども対象となります。

労働時間管理の重要性はこれまで以上に高まっています。

さらに年10日以上有給休暇の権利を持つ社員については最低5日以上の有給休暇取得が義務となり、休日管理の徹底も、労務管理担当者が果たさなければなりません。

労働時間と休日の管理は日々発生する業務のため、労務担当者の負担は相当なものです。適切に行わなければ企業の信用失墜にもつながるリスクがあるため、いかに効率的に適切に管理していくかは、今後の大きな課題といえるでしょう。

労働時間の管理についてより詳しくは、「労働時間管理の義務化とは?必要とされた背景や取り組み方、注意点について解説」をご覧ください。

  テレワーク対応

新型コロナ感染拡大をきっかけに多くの企業がテレワークを導入しました。しかし、十分な準備をする余裕もなく、テレワーク用の就業規則も定まらないままコロナ禍を過ごしてしまった企業も多いのではないでしょうか。

現在、コロナ禍を経てオフィス勤務に戻す企業もあれば、そのままテレワークを継続、もしくはハイブリッドワークに移行する企業もあるなど、対応はバラバラです。ただ、どのような形態にしても、それに合わせた就業規則や賃金について改めて見直す必要があります。

すべての社員が快適に働ける環境を整備するには、テレワーク社員の労務管理もしっかりと行わなければなりません。その作業をスムーズに進めるのも、現在の労務管理における課題といえるでしょう。

労務管理の課題を解決するための対策

労務管理担当者が抱えるさまざまな課題を解決するには、次のような対策が求められます。

  自社の労務管理における課題の明確化

前述した三つの課題も含め、自社の労務管理で抱える課題を明確にします。まず、何が課題であるのかをはっきりさせないと解決もできません。労務管理を行う際のプロセスの可視化、社員アンケートなどを実施し、課題点と解決の優先順位を明確にしましょう。

  労務管理に係る法律の正しい理解

適切な労務管理の実現には、労働基準法や労働安全衛生法、労働契約法など、労務管理に係る基本的な労働関連法の正しい理解が欠かせません。その際、働き方改革関連法による改正に、注意する必要があります。また、働き方や雇用形態の多様化が進む昨今においては、副業・兼業の促進に関するガイドライン、下請法なども抑えておくべきルールでしょう。その他にも労務管理に関係してくる法令、ルールは多数存在します。労務管理担当者としてしっかり理解し、自社の就業規則改善につなげていく必要があります。

  ITツールの活用

労務管理の業務は多岐にわたり、法改正や働き方の多様化により複雑化しています。そのため、すべての業務を手作業で行うのは困難であり、効率化を進めるにはITツールの活用が欠かせません。

労務管理全般を効率化する労務管理システムや、労働時間を適切に管理する勤怠管理システムなどの導入により、効率化を進めることが重要です。効率化が進めば、これまで疎かになっていた業務にも手が回るようになり、労務管理が抱えるほかの課題解決にもつながっていくでしょう。

労務管理システムについてより詳しくは、「労務管理システムはどんな種類や機能がある?選定ポイントやメリットも解説」をご覧ください。

適切な労務管理のポイントは労働時間管理の効率化がカギ

労務管理の目的である生産性向上や社会的責任を実現するには、社員が快適かつ安全に働ける環境の整備が欠かせません。

そのポイントとしては、福利厚生の充実や評価制度の見直し、就業規則の周知などが考えられますが、なかでも重要なのは労働時間の管理です。適切な労働時間の管理が実現すれば社員のモチベーションアップはもちろん、体調不良のリスクも軽減され、生産性向上に大きく貢献します。

そこでおすすめしたいのが長時間労働防止システム「Chronowis」です。日常の労働時間管理はもちろん、時間外労働の上限規制に関する36協定にも対応しているため、法令違反のリスクも軽減できます。

また、時間管理だけでは難しい社員の日々のコンディションを数値化して管理するコンディション管理機能もあり、社員の体調管理も万全です。労務管理の効率化にお悩みの際はぜひ、ぜひ「Chronowis」の導入をご検討ください。

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