蓄電池や充電池って聞いたことがありますか?充電すると電気がためられる電池のことです。電気をためるもっともシンプルなしくみがコンデンサ。向き合った金属表面に電子を蓄積します。しくみは少し異なりますが、電気をためるしくみを、アルミホイルなど身近な材料で実験しながら考えましょう。
アルミホイル(24 cm × 28 cm:10枚、19 cm × 33 cm:9枚)
プラスチック製のクリアファイル(A4サイズのなるべく薄いもの)x 10
LED x 1(例では低電力で光る省電力型LEDを使用)
ミノムシクリップつきリード線 x 3
- 単一または単二乾電池 x 4
- 電池用ボックス x 1
アルミホイルをAとBの大きさに切ります。
A: 24 cm x 28 cmを10 枚
B: 19 cm x 33 cmを9 枚
A4のクリアファイルを使った場合のおおよそのサイズです。
Aのアルミホイルを、クリアファイルの間に差し込みます。アルミホイルがクリアファイルの長い辺からはみ出さないように注意して下さい(短い辺の方だけに2 cmほどはみ出す)。アルミホイルとクリアファイルの長い辺を平行に保ちましょう。
クリアファイルに入れたAのアルミホイルと、入れていないBのアルミホイルをずれがないように十字形に交互に重ねていきましょう。手元にある全てのクリアファイルとアルミホイルを使い切るまで作業を続けます。一番上と一番下が、クリアファイルに入れたアルミホイルになります。
AとBとがクリアファイルで隔てられていて、絶対に直接触れあわないようにして下さい。接触すると発熱して危険!
Aのはみ出した部分をまとめて、赤色リード線(プラス)のミノムシクリップではさみます。同じようにBのはみ出した部分をまとめて、黒色リード線(マイナス)のミノムシクリップではさんで下さい。
ずれないようにプラスチック製の洗濯ばさみなどで固定しておくとよいでしょう。
乾電池を入れた電池ボックスの両端にあるプラスとマイナスを、手順4のそれぞれのリード線につなぎます。別の黒色リード線を電池ボックスの残りのプラスとマイナスにつないで、30 秒~1分ほどそのまま置いておきます(充電)。
つないだ直後に焦げるような臭いがしたら、アルミホイルが接触しているので、実験を中止して電池ボックスを外して下さい。
充電が終わったら、電池ボックスからリード線のミノムシクリップをはずします。代わりにLEDをつなぐと、一瞬ですがLEDを光らせることができました。
LEDにはプラスマイナスの向きがあります。電池のプラスをつないだ側をLEDの長い足(プラス側)につないで下さい。
- アルミホイルの重なりをチェック!AとBが交互に重なっているか、ずれていないかを確かめます。また、アルミホイルにしわが寄りすぎているとうまくいかないことがあるので、できるだけ平らにのばしましょう。
- LEDの向きをチェック!LEDにはプラスマイナスの向きがあります。長い足をプラス側に、短い足をマイナス側につなぎます。
- 机を通って逃げる電気を減らすため、机の上に発泡スチロールの板、またはスチロール製梱包用クッションシートをしいてみましょう。
なぜ電気がたまったの?
アルミホイルに電池をつなぐと電子が移動します。クリアファイルは電気を通さないので、流れついたほうのアルミホイルに電子がたまり、マイナスの電気を帯びます。もう1つのアルミホイルは、プラスの電気を帯びます。電池を外しても、クリアファイルを隔ててプラスとマイナスが引き合っているので、アルミホイルに電気が残ります。これが電気をためた状態です。電池のかわりにLEDをつなぐと、電気の通り道ができるため、たまっていた電子が移動して電流となり、電気を放出した放電の状態になります。これがLEDを光らせたのです。
電気の流れを調節するコンデンサ
この装置のように、電気を通しやすい金属などを、電気を通さないもの(絶縁体)を挟んで向かい合わせにしたしくみを「コンデンサ」といいます。電気をためるだけでなく、流れを調整する部品としてさまざまな電子機器にも使われています。コンデンサでは金属の表面に電気がたまるので、面積が広い方がたまる量が増えます。何枚もアルミホイルを重ねたのはこのためです。
電池のきほん
- 金属の板を絶縁体をはさんで向き合わせにすると、電気をためることができます。このしくみがコンデンサ。
- アルミホイルとクリアファイルをよりたくさん使うと、電気をためる面積が増えます。LEDを長い時間灯すことができるでしょうか。逆により少なくすると、最低何枚で光るでしょうか。充電する電池の条件は変えずに調べてみましょう。
- クリアファイルではなく、ビニール袋や食品ラップなどでもできるでしょうか。いろいろな「電気を通さないもの」で試してみましょう。
クリアファイルの代わりに電気を通すものを使ってはいけません。電気が流れすぎて危険です。
充電できる電池もある
実験で試したコンデンサとはしくみが異なりますが、充電してくり返し使える電池もあります。それが二次電池(充電池や蓄電池とも呼ばれる)で、電極の材質などによりいくつかの種類があります。中でもニッケル酸化化合物をプラス極に、マイナス極に水素化合物や水素吸蔵合金を用いた「ニッケル水素電池」は、デジタルカメラや音楽プレーヤー、ノートパソコンなどで広く用いられ、乾電池と同じサイズの製品もあることから、もっともなじみ深い二次電池といえるでしょう。
- AとBのアルミホイルが接触しないよう、十分に注意して下さい。また、電池ボックスにつないだリード線が直接接触しないように気をつけます。配線はアルミホイルとリード線の接続を先に行い、最後にリード線を電池ボックスにつなぐようにします。外した電池ボックスは電極が金属などに触れないよう注意し、1個以上の乾電池を取り出しておくと安全です。