方針

近年、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。蓄電池はEVやエネルギーソリューションの普及を支える基盤であると同時に、各国の産業競争力やエネルギー安全保障を左右する戦略領域として、その重要性が一層高まっています。この状況において、各国・地域における法規制に加え、安全保障・貿易管理分野への適切な対応が不可欠となってきているとともに、サプライチェーン全体での人権尊重、データ保護、環境規制などのESG領域における取り組みの重要性も増しています。また、急速な事業拡大や品質・納期要求の高度化により、意思決定の難易度も高まっています。

当社は、ミッションの実現・事業拡大のためであっても、法令や倫理を犠牲にすることはありません。「法令や社会道徳に反しないことはもちろん、私心にとらわれず、社会にとって何が正しいかを常に考え、誠実でフェアプレーに徹した行動をとる」という価値観を事業経営の根幹に据えています。法令順守と高い倫理観の徹底は、事業機会の維持・拡大、重大リスクの回避、迅速で質の高い意思決定を支える基盤となります。経営トップは、経営会議にてコンプライアンス活動の定期報告を受け、各種取り組みの状況を適切に把握するとともに、「判断に迷ったときは社会的に正しい道を選ぶ」というメッセージを発信しています。

当社は今後も「社会にとって正しい道を考え、誠実でフェアプレーに徹する企業」として、社会およびステークホルダーの皆さまからの信頼を礎に、持続的な成長を実現していきます。

コンプライアンス徹底に向けた実効性確保の取り組み

当社は方針を「宣言」に終わらせず、実効的に機能させるため、体制・プロセス・企業風土にコンプライアンスを深く浸透させる取り組みを実施しています。

ガバナンス体制強化に向けた施策例の表。体制の構築・運用として委員会を設置し、プロセスの設計・確認として各国新法・法令改定対応やモニタリングを実施。企業風土の醸成として教育・研修の実施やスピークアップカルチャーの醸成を推進する。

体制の構築・運用

経営トップはコンプライアンスを持続的な事業成長と企業価値向上を支える経営基盤と位置付け、自ら率先して社内外へメッセージを発信しています。また、こうした考え方を具体的な取り組みとして全社に展開するため、以下の体制の整備・運用を行っています。全社レベルでは、コンプライアンス委員会、貿易コンプライアンス委員会、中小受託取引適正化法(取適法)順守委員会などの専門委員会を設置し、法令順守の徹底に加え、コンプライアンス上留意すべき事象や課題の共有、再発防止策の検討や展開、教育施策への反映を継続的に行っています。SOX全社統制活動においては、統制目標を実現するための標準的管理行為を定め、仕組み・手続等の整備状況と運用状況を確認することにより、コンプライアンス体制の実効性の向上に取り組んでいます。

プロセスの設計・確認

当社は業務の各段階において、法令順守を確かなものにするための仕組み・プロセスを設計・導入し、その運用の確認・改善を通じて、コンプライアンスの実効性を高めることを重視しております。 2025年度より海外子会社を重点対象に、パナソニックグループのコンプライアンス行動基準および競争法、贈収賄防止、輸出管理、経済制裁等の重点リスク領域を対象として、規程・仕組みの運用状況、教育・研修の実施状況について、モニタリングを開始しました。

また、安全保障に関わる国際情勢の変化や世界的な人権尊重・環境問題への関心の高まりを背景に、各国・地域の政策や法規制は一層複雑化・高度化しています。当社ではこうした外部環境の変化をグローバルに監視・モニタリングし、自社事業への影響を適時に把握・分析し、適切な対策を迅速に実行する基盤・仕組みを備えています。特にサプライチェーン全体に影響を与えうる政策・法規制に関しては、法務部門と調達部門が中心となり、全社横断での順法対応を強力に推進しています。重要な規制動向やリスクについては、取締役会や経営会議に迅速に報告し、トップマネジメントが必要な対応策に関する機動的な意思決定ができる仕組みとしています。
さらに新たに施行された中小受託取引適正化法(取適法)への対応として、2025年度にサプライチェーン全体の健全性と持続性の向上に向けた各種施策を実施しました。具体的には対象取引における支払条件について現金支払いへの見直しを進め、お取引先様の資金繰りへの配慮を強化しています。またお取引先様に貸与している金型やその他の貸与資産について、実態確認と管理の強化を行い、資産管理の透明性と適正性を高めました。さらに原材料価格や事業環境の変化を踏まえ、適正な価格転嫁の徹底に向け、お取引先様への定期的なレター発信などによる取引条件の公正性確保に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、お取引先様との健全で持続可能なパートナーシップを継続的に構築し、取引慣行の公正性を定着させ、将来にわたる事業基盤の強化につなげていきます。

企業風土の醸成

当社は全ての従業員が「判断に迷ったときに社会的に正しい選択をする」ことを実践できる企業風土の醸成に取り組んでいます。新入社員・キャリア入社者・新任役職者・海外赴任者といった階層別研修に加え、カルテルや贈収賄防止、輸出管理、取適法など、リスクの内容に応じた分野別専門研修を実施し、役員・従業員への教育・啓発を継続しています。また毎年9月を「コンプライアンス月間」と定め、経営幹部による全社メッセージ発信や職場単位での討議を通じて、従業員に対するコンプライアンス意識の浸透を図っています。

当社では業務が繁忙な状況においても、上司・部下間、同僚間での対話を重視し、業務課題がコンプライアンス問題に発展する前に解決することを促しています。このような取り組みを通じて、風通しのよいスピークアップカルチャーの定着を推進しています。

直属上司や周囲に直接相談しにくい場合に備え、社内外から報告・相談を受け、関連規程に基づく適切な調査の契機とする窓口としてグローバルホットライン(EARS)を設置しています。EARSでは匿名通報も可能としており、通報者保護を徹底しています。2025年度にはポスターのデザインを刷新し、従業員に広く仕組みを周知しています。2025年度に受け付けた通報件数は前年から増加し、このような仕組みの従業員への浸透の表れであると考えています。

通報件数の推移 *(件)

2021年上期から2024年下期までの内部通報件数の推移を示す棒グラフ。通報制度の実効的な運用により、通報件数の推移をグラフ化した画像。

* 2023年度からは2022年度までの基準より変更。EARSとイコールパートナーシップ相談室に通報された件数をカウント

取り組みの成果と展望

当社では、法令・コンプライアンスに関するリスクの早期発見・是正が促進されています。
これらの取り組みの結果、2025年度も重大な法令・コンプライアンス違反はありませんでした。

当社におけるコンプライアンスに関する取り組みは、単なる法令違反リスクの低減にとどまらず、変化する事業環境および規制動向に対して機動的に対応することで、当社のグローバルでの事業拡大を支える競争力の源泉となっています。

今後も安定的な成長基盤を確立することで、ステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。