方針

人類共通の喫緊の課題である気候変動への対応は、「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」をミッションとする当社が取り組むべき最大のテーマです。このテーマに対し、当社製品・ソリューションがエンドユーザーに使用される際の「CO2削減貢献量の拡大」と、原材料の調達から、生産、製品物流など「電池生産におけるCO2排出量の削減」の両面で取り組みます。環境貢献を加速し環境負荷を低減することで当社の提供価値を最大化するべく、ステークホルダーの皆さまと協働しながらグループ一丸で取り組んでいます。

方針

人類共通の喫緊の課題である気候変動への対応は、「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」をミッションとする当社が取り組むべき最大のテーマです。このテーマに対し、当社製品・ソリューションがエンドユーザーに使用される際の「CO2削減貢献量の拡大」と、原材料の調達から、生産、製品物流など「電池生産におけるCO2排出量の削減」の両面で取り組みます。環境貢献を加速し環境負荷を低減することで当社の提供価値を最大化するべく、ステークホルダーの皆さまと協働しながらグループ一丸で取り組んでいます。

CO2削減貢献量の拡大

製品を通じた環境への貢献

当社はモビリティの電動化をはじめとした、当社の製品・ソリューションの普及を通じた環境への貢献に取り組むことで、「CO2削減貢献量の拡大」を推進しています。

「CO2削減貢献量の拡大」に向けては、車載用リチウムイオン電池や電動アシスト自転車など、製品の電動化によるCO2削減効果を期待できる商材だけに留まらず、従来製品から置き換わることでの省エネルギー効果によるCO2削減効果を期待できる商材として、データセンター向け蓄電システム*1によるCO2削減貢献量を2024年度新たに定量化しました。これにより2024年度のCO2削減貢献量は約1,600万トンとなっています。

今後も生産能力を高めるとともに、電動化が進む産業用モビリティなどの分野にも当社製品・ソリューションを拡大させ、社会の脱炭素化に貢献することで、2030年度CO2削減貢献量4,500万トンの達成を目指します。

*1 集中型電源から分散型電源への置き換えによるライフタイム供給電力量の削減効果

EVや電動アシスト自転車、データセンタ向けシステムなどの製品・ソリューションの普及により、CO2削減貢献量を2030年度に4,500万トンへ拡大する取り組みを示す図。

脱炭素に貢献する製品・ソリューションの普及により貢献を拡大

削減貢献量の国際標準化に向けた取り組み

2050年カーボンニュートラル社会の実現には、社会全体で温室効果ガス(GHG)排出量を大幅に削減する必要があります。このような中、企業には自社バリューチェーンのGHG排出量の削減にとどまらず、お客様の脱炭素化に貢献する製品の製造と社会への普及拡大を通して、カーボンニュートラルの実現に貢献することが求められています。しかしながら、既存のGHG排出量の指標では、社会の脱炭素化に貢献する製品の生産量が増えても、企業のGHG排出量としては増加することがあり、企業による社会全体の脱炭素化への貢献が適切に評価されないという現状があります。

CO2削減貢献量は、企業が提供する製品やソリューションの導入によって、お客様や社会のCO2排出量をどれだけ削減したかを定量化する指標です。この指標を用いることで、従来のGHG排出量では表現が難しい、企業の製品を通じた社会の脱炭素化への貢献を評価することができると考えています。しかし、現時点ではCO2削減貢献量の算定・開示手法に統一した基準がなく、社会的な認知度も低いという課題があります。

そのため当社は、パナソニックグループの一員としてWBCSD*2のガイダンスやIEC*3での国際規格の開発など、CO2削減貢献量の国際標準化に向けた活動に積極的に参画し、合理的な算定方法の開発に取り組むとともに、国際的に認知されたルールに基づく適切な情報開示に努めています。

当社は今後も、脱炭素化に貢献する製品やソリューションの開発と普及を通じて、社会全体のGHG排出量削減に取り組み、「幸せの追求と持続可能な環境が調和した社会の実現」を目指します。

*2 持続可能な開発のための経済人会議
*3 国際電気標準会議

IRA(Inflation Reduction Act)と削減貢献量の関係性

IRAは気候変動対策として米国最大の投資*4であり、2023年から2050年までの間に210億トンのCO2を削減し、世界全体で5兆6,000億ドルの気候変動による経済損失を回避することを目指して設計された法律*5です。

IRAでは、エネルギー安全保障と気候変動対策に繋がる産業を対象に、税控除や補助金などを実施しており、当社は北米で生産する車載電池の出荷量に対し$35/kWhの税控除を受益*6しています。これは当社が車載電池の製造を通じて、社会のEV普及を促進し、CO2排出量削減に貢献したことで得ることができた税控除であると考えています。それを示すように、当社車載電池によるCO2削減貢献量は、IRAによる税控除額と比例関係にあり、車載電池を通じた脱炭素化への貢献が社会から金銭価値として評価された事例であると考えています。

CO2削減貢献量の拡大

製品を通じた環境への貢献

当社はモビリティの電動化をはじめとした、当社の製品・ソリューションの普及を通じた環境への貢献に取り組むことで、「CO2削減貢献量の拡大」を推進しています。

「CO2削減貢献量の拡大」に向けては、車載用リチウムイオン電池や電動アシスト自転車など、製品の電動化によるCO2削減効果を期待できる商材だけに留まらず、従来製品から置き換わることでの省エネルギー効果によるCO2削減効果を期待できる商材として、データセンター向け蓄電システム*1によるCO2削減貢献量を2024年度新たに定量化しました。これにより2024年度のCO2削減貢献量は約1,600万トンとなっています。

今後も生産能力を高めるとともに、電動化が進む産業用モビリティなどの分野にも当社製品・ソリューションを拡大させ、社会の脱炭素化に貢献することで、2030年度CO2削減貢献量4,500万トンの達成を目指します。

*1 集中型電源から分散型電源への置き換えによるライフタイム供給電力量の削減効果

EVや電動アシスト自転車、データセンタ向けシステムなどの製品・ソリューションの普及により、CO2削減貢献量を2030年度に4,500万トンへ拡大する取り組みを示す図。

脱炭素に貢献する製品・ソリューションの普及により貢献を拡大

削減貢献量の国際標準化に向けた取り組み

2050年カーボンニュートラル社会の実現には、社会全体で温室効果ガス(GHG)排出量を大幅に削減する必要があります。このような中、企業には自社バリューチェーンのGHG排出量の削減にとどまらず、お客様の脱炭素化に貢献する製品の製造と社会への普及拡大を通して、カーボンニュートラルの実現に貢献することが求められています。しかしながら、既存のGHG排出量の指標では、社会の脱炭素化に貢献する製品の生産量が増えても、企業のGHG排出量としては増加することがあり、企業による社会全体の脱炭素化への貢献が適切に評価されないという現状があります。

CO2削減貢献量は、企業が提供する製品やソリューションの導入によって、お客様や社会のCO2排出量をどれだけ削減したかを定量化する指標です。この指標を用いることで、従来のGHG排出量では表現が難しい、企業の製品を通じた社会の脱炭素化への貢献を評価することができると考えています。しかし、現時点ではCO2削減貢献量の算定・開示手法に統一した基準がなく、社会的な認知度も低いという課題があります。

そのため当社は、パナソニックグループの一員としてWBCSD*2のガイダンスやIEC*3での国際規格の開発など、CO2削減貢献量の国際標準化に向けた活動に積極的に参画し、合理的な算定方法の開発に取り組むとともに、国際的に認知されたルールに基づく適切な情報開示に努めています。

当社は今後も、脱炭素化に貢献する製品やソリューションの開発と普及を通じて、社会全体のGHG排出量削減に取り組み、「幸せの追求と持続可能な環境が調和した社会の実現」を目指します。

*2 持続可能な開発のための経済人会議
*3 国際電気標準会議

IRA(Inflation Reduction Act)と削減貢献量の関係性

IRAは気候変動対策として米国最大の投資*4であり、2023年から2050年までの間に210億トンのCO2を削減し、世界全体で5兆6,000億ドルの気候変動による経済損失を回避することを目指して設計された法律*5です。

IRAでは、エネルギー安全保障と気候変動対策に繋がる産業を対象に、税控除や補助金などを実施しており、当社は北米で生産する車載電池の出荷量に対し$35/kWhの税控除を受益*6しています。これは当社が車載電池の製造を通じて、社会のEV普及を促進し、CO2排出量削減に貢献したことで得ることができた税控除であると考えています。それを示すように、当社車載電池によるCO2削減貢献量は、IRAによる税控除額と比例関係にあり、車載電池を通じた脱炭素化への貢献が社会から金銭価値として評価された事例であると考えています。

電池生産におけるCO2排出量の削減

取り組み方針

当社の製品・ソリューションの普及を通じた社会におけるCO2排出量削減に貢献する一方で、原材料の調達から、生産、製品物流など「電池生産におけるCO2排出量の削減」を推進しています。

当社の電池生産工程においては「省エネルギーの推進」と「再生可能エネルギーの導入」の両面で環境負荷低減に取り組み、環境証書やクレジットなども活用し、2028年度までに全拠点でCO2実質ゼロ工場*7の達成を目指しています。

電池生産におけるCO2排出量削減の取り組み図。省エネルギーの推進としてエネルギーロス削減やモノづくり革新を進める一方、再生可能エネルギーの導入ではオンサイト・オフサイトの再エネ活用と証書の調達を示す。

国内全拠点を含むグローバル17拠点でCO2実質ゼロ工場達成(2024年9月時点)

CO2ゼロ工場を達成した拠点を示した地図。日本では貝塚、東浦、南淡、守口、住之江、二色の浜、和歌山、州本、徳島、中国では無錫や蘇州、インドではパナソニック カーボンを含めた2拠点、タイ、ブラジル、メキシコ、アメリカのグローバル17拠点を各工場の外観とともに示している。

またサプライチェーン全体でのCO2排出削減に向けては、2030年度までに電池単位容量当たりのカーボンフットプリント(CFP)を2021年度比で50%削減*8することを目指し、当社工程における取り組み、および購入先様と連携した削減への取り組みを強化しています。

電池生産におけるCO2排出量削減に向けた取り組みを紹介する図。省エネルギー推進、再生可能エネルギー導入、環境証書の活用により、2028年度までに全拠点でCO2実質ゼロ工場の達成を目指す。2024年9月時点で国内を含むグローバル17拠点で実質ゼロを達成。2030年度までに電池単位容量当たりのカーボンフットプリントを2021年度比で50%削減する目標も掲げ、サプライチェーン全体での取り組みを強化。

カーボンフットプリント削減の進捗と目標

*7 省エネ推進や再生可能エネルギー導入、クレジットの活用などにより、CO2排出を実質的にゼロとした工場
*8 北米工場生産車載用リチウムイオン電池容量あたりのCO2排出量

電池生産工程における取り組み

省エネルギーの推進

当社の電池生産工程では、乾燥設備や空調設備などで大量のエネルギーを消費しています。環境への負荷を低減するため、空調制御の最適化、エネルギーロスの削減などの省エネ施策に加え、生産・工法の革新、燃料の電化・転換などモノづくり革新の取り組みを推進しています。

生産効率向上によるエネルギー原単位削減取り組みの具体例として、貝塚工場では極板製造工程において、科学的手法を用いて効率的な乾燥条件を確立し、塗布速度を向上させました。この新しい工法は、2025年度からリチウムイオン電池の国内外主要生産拠点に展開予定です。

拠点の垣根を超えた活動として2023年に設立した「CO2分科会」では、改善事例を全社で横展開し、省エネ効果の最大化を目指しています。2024年度は分科会メンバーを中心に国内3拠点で省エネ診断を実施し、約3,500トンのCO2の削減効果が期待される省エネアイデアを創出しました。今後は、海外拠点も含めた広範な実施を計画しています。

CO2分科会開催の様子の写真

CO2分科会開催の様子

再生可能エネルギーの導入

当社は2024年9月にグローバル17拠点でCO2実質ゼロ工場を達成していますが、次のステップとして、環境証書に頼らない自社再エネ自給率*9の向上に取り組んでいます。

二色の浜工場では、屋上全体に太陽光発電設備を設置する際、工場内の変電所に大規模な改造工事を行う必要がなくなる新しい導入方法を採用しました。これにより、工事費の削減と工期の短縮が可能となり、自社再エネ自給率も向上しています。これらの取り組みが高く評価され、一般財団法人新エネルギー財団主催の「令和5年度新エネ大賞」「導入活動部門」において、経済産業大臣賞をFD社、パナソニック ホールディングスと共同で受賞しています。他拠点では、屋根だけでなく駐車場にも太陽光発電を導入する取り組みを始めました。このソーラーカーポートは、雨除け・日よけとして従業員も快適に使用でき、福利厚生向上にも寄与しています。

今後は各国の地域特性を加味しながら、グローバルでの再生可能エネルギー導入の拡大を検討しています。

パナソニック エナジー無錫のソーラーカーポートの写真

パナソニック エナジー無錫

パナソニック エナジー東浦のソーラーカーポートの写真

パナソニック エナジー東浦

*9 自社専用発電設備から供給される再エネの割合を示す指標。証書のみの調達分を含まない

オフサイトコーポレートPPAの導入

これまで拠点内の太陽光発電(オンサイトPPAを含む)に加えて、太陽光発電や陸上風力のオフサイトコーポレートPPA*10を導入してきました。2025年4月からは、小売電気事業者のパナソニック オペレーショナルエクセレンス社を通じて、九電みらいエナジー社とオフサイトコーポレートPPA契約を締結し、地熱発電由来の再生可能エネルギー電力の導入を開始しました。天候条件に影響されず安定発電が可能な地熱発電を導入することにより、当社の国内使用電力における自社再エネ自給率をこれまでの約15%から、約30%*11まで向上させるとともに、CO2削減効果は合計で年間約50,000トンになります。これは、約56km2(甲子園球場約4,300個分)の森林の年間CO2吸収量*12に相当します。

オフサイトコーポレートPPA、太陽光発電設備の写真

地熱

オフサイトコーポレートPPA、地熱発電設備の写真

陸上風力

オフサイトコーポレートPPA、陸上風力発電設備の写真

太陽光

*10 再エネ電源の所有者である発電事業者(ディベロッパー、投資家等含む)と電力の購入者(需要家等)が、事前に合意した価格及び期間における再エネ電力の売買契約を締結し、需要地ではないオフサイトに導入された再エネ電源で発電された再エネ電力を、一般の電力系統を介して当該電力の購入者へ供給する契約方式(出典:環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「オフサイトコーポレートPPAについて」)
*11 2024年の当社の国内全拠点における電力使用量の実績を基に算出した結果
*12 適切に手入れされている36~40年生のスギ人工林(データ出典:林野庁ホームページ)

次世代エネルギーの活用の取り組み

当社は、社会のCO2排出削減に貢献する次世代エネルギーとして、水素の活用を進めています。当社二色の浜工場、パナソニック エナジー 無錫では、純水素型燃料電池を導入し、特に二色の浜工場では、太陽光発電や蓄電池と組み合わせたエネルギーの最適制御により、効率的な再生可能エネルギー利用に取り組んでいます。2025年大阪・関西万博では、「未来を変える!Hydrogen Week」に関連するイベントとして、岩谷産業社・川崎重工社と共同でオフサイトビジットツアー*13を実施しました。今後も当社は次世代エネルギーを活用しながら、脱炭素化へ貢献していきます。

二色の浜工場の写真

二色の浜工場

二色の浜工場で導入した純水素型燃料電池設備の写真

水素タンク

*13 万博会場である夢洲だけでなく、大阪府内や関西圏の他の地域でも、万博に関連する体験や見学ができるツアー

リユース電池の活用

当社は、環境負荷を最小化するため、使用済み電池をリユースする取り組みを推進しています。

2023年よりCO2実質ゼロ工場として稼働を開始した徳島工場では、リユース電池を活用した蓄電池コンテナの設置の実証

実験を進めています。具体的には、データセンターから回収した使用済み電池を高電圧システム用モジュールとして、再利用し、太陽光パネルで発電した電力を蓄え、夜間照明などへの供給に活用しています。

今後は、リユース電池を活用した蓄電池コンテナによる再生可能エネルギー活用の推進や、製品の廃棄などに係るCO2排出量の削減を推進し、CO2排出量削減とともに、廃棄物の抑制による環境負荷の低減を推進します。

蓄電池コンテナ(徳島工場)の写真

蓄電池コンテナ(徳島工場)

原材料調達における取り組み

電池の生産に伴うCO2排出量(カーボンフットプリント)の多くは、当社の製造工程以前の資源採掘、原材料加工、物流プロセスで排出されています。これを受け、当社はサプライチェーン全体の環境負荷を低減するため、2030年度までに電池単位容量当たりのカーボンフットプリント(CFP)を2021年度比で半減させる目標*14を設定し、購入先様との連携による生産工程のCO2排出量削減、材料の現地調達比率向上、物流におけるCO2排出量削減などを推進しています。これらの取り組みにより、2024年度は22%(2021年度比)の削減を実現しました。

*14 北米工場生産車載用リチウムイオン電池容量あたりのCO2排出量

購入先様との取り組み

当社は使用する材料の資源採掘→原料加工→物流の全てのプロセスで購入先様と連携してCO2排出量削減の取り組みを推進しています。具体的には、毎年開催する購入先様とのパートナーズミーティングなどを通じて、2030年に向けた当社方針をご理解いただき、共通認識のもと連携してCO2排出量削減に当たる体制を構築しています。この取り組みの一環として、電池のCFPの算出結果をもとに、影響度の高い重要部品や材料に対する削減目標を設定しています。購入先様とは高頻度で協議を行い、高効率設備の導入、生産プロセスの最適化、再生可能エネルギーの導入、低CFP原料の調達など、具体的な施策を進めています。

今後の取り組みとして、材料の資源採掘、原料加工プロセス、特に重要鉱物であるニッケル、リチウムを中心に、再生可能エネルギーの採用割合が高いなどCO2排出量の少ない購入先様を見極め、中長期的な戦略的調達購入先様として位置づけていきます。その上で、協働して再生可能エネルギーの導入促進、鉱山でのEVトラックの採用、リサイクル材採用、低CO2排出プロセスの開発、使用エネルギーの削減、植林活動などを行っていきます。

2024年パートナーズ ミーティング開催の様子の写真

2024年パートナーズミーティング開催の様子

材料の現地調達比率向上の取り組み

当社は、北米を重点地域とし、現地調達率の向上を通じて電池のCFP削減を目指しています。天然黒鉛について、2022年10月に、カナダのヌーボー・モンド・グラファイト社とオフテイク契約(長期供給契約)に関する覚書を締結しました。その後、当社の製品仕様と品質基準を満たすための技術開発とプロセスの最適化を進め、2024年2月に同社への出資と7年間のオフテイク契約を締結しました。カナダは水力発電など再生可能エネルギー由来の電力比率が高く、 “資源採掘から負極材料まで”の一貫生産を行うことで、CO2排出量を大幅に削減した負極材料の調達が可能となります。

また、人造黒鉛について、ノボニックス社との長期供給契約を締結し、同社の米国テネシー州工場から当社北米工場への供給に向け2025年より共同開発を行っています。同社が開発した連続黒鉛化炉技術により、従来の方法と比べて人造黒鉛生産時のCO2排出量の低減が期待できます。北米での現地調達率の向上に加え、サプライチェーンにおける環境負荷の低減においても戦略的に取り組んでいます。

さらに、H&Tリチャージ社(以下、H&T社)と電池外装缶の長期供給契約を締結しました。H&T社は、当社米国ネバダ工場の構内において、リチウムイオン電池生産向けに外装缶を供給する購入先様です。工場構内での供給体制により、北米地域における現地調達比率の向上が可能となると共に、外装缶の輸送距離が短縮されることで、物流に伴うCO2排出量の削減が期待できます。

加えて使用済みリチウムイオン電池から生成された原材料の活用を積極的に推進しており、これによりCO2排出量の削減にも貢献しています。

ノボニックス社の連続黒鉛化炉(2024年2月時点)の写真

ノボニックス社の連続黒鉛化炉(2024年2月時点)

製品物流における取り組み

当社は、製品物流におけるCO2排出量を削減する取り組みも推進しています。輸送方法、輸送ルートの最適化をおこないつつ、国内ではエコトラック社と協力し、従来のディーゼルを燃料としたトラックから、走行時のCO2排出量をゼロとみなせるバイオガス*15を燃料とするトラックの実証実験を行ってきました。2025年度から一部実用化を開始するとともに、今後は製品物流に加えて、原材料の調達物流にも拡大していく予定です。

走行時のCO2排出量をゼロとみなせるバイオガスを燃料とするバイオガストラックの写真(実証実験)

バイオガストラック写真

*15 バイオマス由来のメタンを精製したもの

電池生産におけるCO2排出量の削減

取り組み方針

当社の製品・ソリューションの普及を通じた社会におけるCO2排出量削減に貢献する一方で、原材料の調達から、生産、製品物流など「電池生産におけるCO2排出量の削減」を推進しています。

当社の電池生産工程においては「省エネルギーの推進」と「再生可能エネルギーの導入」の両面で環境負荷低減に取り組み、環境証書やクレジットなども活用し、2028年度までに全拠点でCO2実質ゼロ工場*7の達成を目指しています。

電池生産におけるCO2排出量削減の取り組み図。省エネルギーの推進としてエネルギーロス削減やモノづくり革新を進める一方、再生可能エネルギーの導入ではオンサイト・オフサイトの再エネ活用と証書の調達を示す。

国内全拠点を含むグローバル17拠点でCO2実質ゼロ工場達成(2024年9月時点)

CO2ゼロ工場を達成した拠点を示した地図。日本では貝塚、東浦、南淡、守口、住之江、二色の浜、和歌山、州本、徳島、中国では無錫や蘇州、インドではパナソニック カーボンを含めた2拠点、タイ、ブラジル、メキシコ、アメリカのグローバル17拠点を各工場の外観とともに示している。

またサプライチェーン全体でのCO2排出削減に向けては、2030年度までに電池単位容量当たりのカーボンフットプリント(CFP)を2021年度比で50%削減*8することを目指し、当社工程における取り組み、および購入先様と連携した削減への取り組みを強化しています。

電池生産におけるCO2排出量削減に向けた取り組みを紹介する図。省エネルギー推進、再生可能エネルギー導入、環境証書の活用により、2028年度までに全拠点でCO2実質ゼロ工場の達成を目指す。2024年9月時点で国内を含むグローバル17拠点で実質ゼロを達成。2030年度までに電池単位容量当たりのカーボンフットプリントを2021年度比で50%削減する目標も掲げ、サプライチェーン全体での取り組みを強化。

カーボンフットプリント削減の進捗と目標

*7 省エネ推進や再生可能エネルギー導入、クレジットの活用などにより、CO2排出を実質的にゼロとした工場
*8 北米工場生産車載用リチウムイオン電池容量あたりのCO2排出量

電池生産工程における取り組み

省エネルギーの推進

当社の電池生産工程では、乾燥設備や空調設備などで大量のエネルギーを消費しています。環境への負荷を低減するため、空調制御の最適化、エネルギーロスの削減などの省エネ施策に加え、生産・工法の革新、燃料の電化・転換などモノづくり革新の取り組みを推進しています。

生産効率向上によるエネルギー原単位削減取り組みの具体例として、貝塚工場では極板製造工程において、科学的手法を用いて効率的な乾燥条件を確立し、塗布速度を向上させました。この新しい工法は、2025年度からリチウムイオン電池の国内外主要生産拠点に展開予定です。

拠点の垣根を超えた活動として2023年に設立した「CO2分科会」では、改善事例を全社で横展開し、省エネ効果の最大化を目指しています。2024年度は分科会メンバーを中心に国内3拠点で省エネ診断を実施し、約3,500トンのCO2の削減効果が期待される省エネアイデアを創出しました。今後は、海外拠点も含めた広範な実施を計画しています。

CO2分科会開催の様子の写真

CO2分科会開催の様子

再生可能エネルギーの導入

当社は2024年9月にグローバル17拠点でCO2実質ゼロ工場を達成していますが、次のステップとして、環境証書に頼らない自社再エネ自給率*9の向上に取り組んでいます。

二色の浜工場では、屋上全体に太陽光発電設備を設置する際、工場内の変電所に大規模な改造工事を行う必要がなくなる新しい導入方法を採用しました。これにより、工事費の削減と工期の短縮が可能となり、自社再エネ自給率も向上しています。これらの取り組みが高く評価され、一般財団法人新エネルギー財団主催の「令和5年度新エネ大賞」「導入活動部門」において、経済産業大臣賞をFD社、パナソニック ホールディングスと共同で受賞しています。他拠点では、屋根だけでなく駐車場にも太陽光発電を導入する取り組みを始めました。このソーラーカーポートは、雨除け・日よけとして従業員も快適に使用でき、福利厚生向上にも寄与しています。

今後は各国の地域特性を加味しながら、グローバルでの再生可能エネルギー導入の拡大を検討しています。

パナソニック エナジー無錫のソーラーカーポートの写真

パナソニック エナジー無錫

パナソニック エナジー東浦のソーラーカーポートの写真

パナソニック エナジー東浦

*9 自社専用発電設備から供給される再エネの割合を示す指標。証書のみの調達分を含まない

オフサイトコーポレートPPAの導入

これまで拠点内の太陽光発電(オンサイトPPAを含む)に加えて、太陽光発電や陸上風力のオフサイトコーポレートPPA*10を導入してきました。2025年4月からは、小売電気事業者のパナソニック オペレーショナルエクセレンス社を通じて、九電みらいエナジー社とオフサイトコーポレートPPA契約を締結し、地熱発電由来の再生可能エネルギー電力の導入を開始しました。天候条件に影響されず安定発電が可能な地熱発電を導入することにより、当社の国内使用電力における自社再エネ自給率をこれまでの約15%から、約30%*11まで向上させるとともに、CO2削減効果は合計で年間約50,000トンになります。これは、約56km2(甲子園球場約4,300個分)の森林の年間CO2吸収量*12に相当します。

オフサイトコーポレートPPA、太陽光発電設備の写真

地熱

オフサイトコーポレートPPA、地熱発電設備の写真

陸上風力

オフサイトコーポレートPPA、陸上風力発電設備の写真

太陽光

*10 再エネ電源の所有者である発電事業者(ディベロッパー、投資家等含む)と電力の購入者(需要家等)が、事前に合意した価格及び期間における再エネ電力の売買契約を締結し、需要地ではないオフサイトに導入された再エネ電源で発電された再エネ電力を、一般の電力系統を介して当該電力の購入者へ供給する契約方式(出典:環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「オフサイトコーポレートPPAについて」)
*11 2024年の当社の国内全拠点における電力使用量の実績を基に算出した結果
*12 適切に手入れされている36~40年生のスギ人工林(データ出典:林野庁ホームページ)

次世代エネルギーの活用の取り組み

当社は、社会のCO2排出削減に貢献する次世代エネルギーとして、水素の活用を進めています。当社二色の浜工場、パナソニック エナジー 無錫では、純水素型燃料電池を導入し、特に二色の浜工場では、太陽光発電や蓄電池と組み合わせたエネルギーの最適制御により、効率的な再生可能エネルギー利用に取り組んでいます。2025年大阪・関西万博では、「未来を変える!Hydrogen Week」に関連するイベントとして、岩谷産業社・川崎重工社と共同でオフサイトビジットツアー*13を実施しました。今後も当社は次世代エネルギーを活用しながら、脱炭素化へ貢献していきます。

二色の浜工場の写真

二色の浜工場

二色の浜工場で導入した純水素型燃料電池設備の写真

水素タンク

*13 万博会場である夢洲だけでなく、大阪府内や関西圏の他の地域でも、万博に関連する体験や見学ができるツアー

リユース電池の活用

当社は、環境負荷を最小化するため、使用済み電池をリユースする取り組みを推進しています。

2023年よりCO2実質ゼロ工場として稼働を開始した徳島工場では、リユース電池を活用した蓄電池コンテナの設置の実証

実験を進めています。具体的には、データセンターから回収した使用済み電池を高電圧システム用モジュールとして、再利用し、太陽光パネルで発電した電力を蓄え、夜間照明などへの供給に活用しています。

今後は、リユース電池を活用した蓄電池コンテナによる再生可能エネルギー活用の推進や、製品の廃棄などに係るCO2排出量の削減を推進し、CO2排出量削減とともに、廃棄物の抑制による環境負荷の低減を推進します。

蓄電池コンテナ(徳島工場)の写真

蓄電池コンテナ(徳島工場)

原材料調達における取り組み

電池の生産に伴うCO2排出量(カーボンフットプリント)の多くは、当社の製造工程以前の資源採掘、原材料加工、物流プロセスで排出されています。これを受け、当社はサプライチェーン全体の環境負荷を低減するため、2030年度までに電池単位容量当たりのカーボンフットプリント(CFP)を2021年度比で半減させる目標*14を設定し、購入先様との連携による生産工程のCO2排出量削減、材料の現地調達比率向上、物流におけるCO2排出量削減などを推進しています。これらの取り組みにより、2024年度は22%(2021年度比)の削減を実現しました。

*14 北米工場生産車載用リチウムイオン電池容量あたりのCO2排出量

購入先様との取り組み

当社は使用する材料の資源採掘→原料加工→物流の全てのプロセスで購入先様と連携してCO2排出量削減の取り組みを推進しています。具体的には、毎年開催する購入先様とのパートナーズミーティングなどを通じて、2030年に向けた当社方針をご理解いただき、共通認識のもと連携してCO2排出量削減に当たる体制を構築しています。この取り組みの一環として、電池のCFPの算出結果をもとに、影響度の高い重要部品や材料に対する削減目標を設定しています。購入先様とは高頻度で協議を行い、高効率設備の導入、生産プロセスの最適化、再生可能エネルギーの導入、低CFP原料の調達など、具体的な施策を進めています。

今後の取り組みとして、材料の資源採掘、原料加工プロセス、特に重要鉱物であるニッケル、リチウムを中心に、再生可能エネルギーの採用割合が高いなどCO2排出量の少ない購入先様を見極め、中長期的な戦略的調達購入先様として位置づけていきます。その上で、協働して再生可能エネルギーの導入促進、鉱山でのEVトラックの採用、リサイクル材採用、低CO2排出プロセスの開発、使用エネルギーの削減、植林活動などを行っていきます。

2024年パートナーズ ミーティング開催の様子の写真

2024年パートナーズミーティング開催の様子

材料の現地調達比率向上の取り組み

当社は、北米を重点地域とし、現地調達率の向上を通じて電池のCFP削減を目指しています。天然黒鉛について、2022年10月に、カナダのヌーボー・モンド・グラファイト社とオフテイク契約(長期供給契約)に関する覚書を締結しました。その後、当社の製品仕様と品質基準を満たすための技術開発とプロセスの最適化を進め、2024年2月に同社への出資と7年間のオフテイク契約を締結しました。カナダは水力発電など再生可能エネルギー由来の電力比率が高く、 “資源採掘から負極材料まで”の一貫生産を行うことで、CO2排出量を大幅に削減した負極材料の調達が可能となります。

また、人造黒鉛について、ノボニックス社との長期供給契約を締結し、同社の米国テネシー州工場から当社北米工場への供給に向け2025年より共同開発を行っています。同社が開発した連続黒鉛化炉技術により、従来の方法と比べて人造黒鉛生産時のCO2排出量の低減が期待できます。北米での現地調達率の向上に加え、サプライチェーンにおける環境負荷の低減においても戦略的に取り組んでいます。

さらに、H&Tリチャージ社(以下、H&T社)と電池外装缶の長期供給契約を締結しました。H&T社は、当社米国ネバダ工場の構内において、リチウムイオン電池生産向けに外装缶を供給する購入先様です。工場構内での供給体制により、北米地域における現地調達比率の向上が可能となると共に、外装缶の輸送距離が短縮されることで、物流に伴うCO2排出量の削減が期待できます。

加えて使用済みリチウムイオン電池から生成された原材料の活用を積極的に推進しており、これによりCO2排出量の削減にも貢献しています。

ノボニックス社の連続黒鉛化炉(2024年2月時点)の写真

ノボニックス社の連続黒鉛化炉(2024年2月時点)

製品物流における取り組み

当社は、製品物流におけるCO2排出量を削減する取り組みも推進しています。輸送方法、輸送ルートの最適化をおこないつつ、国内ではエコトラック社と協力し、従来のディーゼルを燃料としたトラックから、走行時のCO2排出量をゼロとみなせるバイオガス*15を燃料とするトラックの実証実験を行ってきました。2025年度から一部実用化を開始するとともに、今後は製品物流に加えて、原材料の調達物流にも拡大していく予定です。

走行時のCO2排出量をゼロとみなせるバイオガスを燃料とするバイオガストラックの写真(実証実験)

バイオガストラック写真

*15 バイオマス由来のメタンを精製したもの