トップメッセージ|激変する環境を味方に、ぶれることなく未来へ歩み続ける

写真:代表取締役 社長執行役員 チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO) 只信一生

代表取締役 社長執行役員
チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO)
只信一生

エナジーの力で新たな社会を支え続ける

いま、世界はこれまで以上の大きな変化の渦中にあります。各国の政策転換、地政学リスクの先鋭化、人工知能(AI)・半導体の急速な進化、そして電力需要の爆発的な増加。こうした変化は、私たちが担う「エナジー」の価値と責任をかつてないほど大きくしています。電池は今や国家の安全保障にも関わるエネルギーマネジメントや情報セキュリティなどのクロスポイントとしての重要な責務を担い、社会インフラや日常生活のあらゆる場面で電化が進むにつれ、くらしの本質を支える重要な存在になっています。

一方、電池は資源国と加工国、製造国、利用国が複雑に絡み合うグローバル産業です。世界がテクノロジーでつながろうとする反面、地政学リスクによる分断が拡大すれば、電池はその影響を強く受ける可能性が高まります。ただ、どれほど事業環境が揺れ動こうとも、私たちの目指すゴールは変わることはありません。創業以来掲げてきたミッション「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」、ビジョン「未来を変えるエナジーになる」、そしてウィル「人類として、やるしかない」。全従業員が心に宿すこの軸が揺らぐことはけっしてなく、むしろ世界が不確実性を増す今こそ、私たちの存在意義は社会からより強く求められていると感じています。

写真:代表取締役 社長執行役員 チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO) 只信一生

環境変化を適切に捉え、両輪経営で挑む

変化は常に起こるものであり、そこには必ず私たちのエナジーが社会の困りごとを解決し、くらしの進化に貢献できる領域が生まれます。電気自動車(EV)市場の伸びが政策転換により鈍化した一方で、データセンター(DC)領域は急激なスピードで拡大しました。私たちは、こうした環境変化に柔軟に対応し、事業戦略を着実に実行してきました。今まさに私たちが目指す「両輪経営=車載事業と産業・民生事業の二軸」を体現しつつあります。

EVの進化を高いレベルで支え続けてきた実績が評価され、DCの急速な進展にも大きく貢献することができています。円筒形電池の材料・製造・生産技術のノウハウ、そして最も重要な経営資産である多様な人財が変化への高い適応力を生み出しています。

EVやDCがすべてつながる未来へ

EVとDCは別領域と捉えられがちですが、私はどちらも未来の社会インフラを構築していく地続きのプロセスであり、一つの大きな流れだと捉えています。AIが社会の頭脳となり、モビリティをはじめとする様々な機器がクラウドとつながり、人のくらしがデジタルと融合していく。自動運転車はクラウドと車載AI・センサーなどで動き、ヒューマノイドや産業用ロボットはAIの演算で動き、社会インフラのすべてが電気でつながる。そしてその裏側には必ず「止まらない・安全な電池」へのニーズが存在します。EVもDCも、社会の“つながり”を支えるエナジーシステムの一部であり、AIの進化と共にこれから様々な産業に変革が起こります。

私たちは電池セルをつくるだけでなく、電池の状態を監視・制御し、安全性と性能を最適化するバッテリーマネジメントシステム(BMS)や安全基準の策定まで含め、EV・DCどちらの領域でも世界トップクラスの信頼を獲得しています。こうしたノウハウは、今後登場する多様な機器の駆動・電力バックアップにも応用可能です。全従業員がそれを誇りに、あらゆる環境変化や困難にも柔軟に対応し、「必ずミッションを遂行する」という共通認識で挑んでいることが大きな自信や信頼構築へとつながっています。

生成AIの進化に伴い、DCの電力需要は今後も増え続けると見込まれています。半導体の進化によって演算能力が高まるほど、電力の効率化やバックアップ電源の重要性は増し、電池の安全性・信頼性は社会インフラの根幹を支える要素となります。電力制御のニーズも細分化するため、より最適なシステム提案が求められます。

一方、政策の後押しが弱まったとはいえ、EV市場も確実に成長しています。米国では自動運転のロボタクシーが24時間体制で運行し、配車から決済までスマートフォンで完結する社会が始まっています。

私たちは、この大きな流れを単なる市場拡大ではなく、社会の持続可能性を支える責務として取り組んでいます。国や様々な産業との連携をさらに強化しながら未来創出に貢献していきます。

誰もやっていない、一番困難な社会課題を解決する

AIやクラウドがつながることで起こる社会インフラの変化スピードは加速度を増し、電池が求められる領域も拡大します。必要な電池性能や制御システムは複雑化し、ボリュームも大きくなっています。当社の技術部門も2030年以降の未来を想定した製品・システムの開発を進めていますが、EVやDCに続く新たな柱を創出するためにも、多様化する要望への適応力やスピード感をさらに進化させていく必要があります。

100年の歴史で築き上げてきたモノづくりのノウハウと生産設備など、垂直統合で迅速に製品やシステムを作り上げる当社のビジネスモデルは、急変する環境下において大きな強みです。この強みを活かしながら、適応力を発揮すれば多様な領域で新たな事業機会をつかむことができるはずです。とはいえ、これほどのスピードで社会インフラが変化する局面は前例がなく、先導的に取り組むことは容易ではありません。ただ、「誰もやっていない、一番困難な社会課題を解決することに挑む」のは、創業以来連綿と続く当社のスピリットです。

新たな社会の扉はもうすでに開いています。AI・ロボティクス・モビリティ・エネルギーが融合し、人のくらし方そのものが変わる社会がすぐに訪れます。無人運転が当たり前になり、ロボットが工場・農業・物流を担い、高齢者や移動困難者の生活が劇的に変わり、デジタルとアナログが循環する新しいくらしが始まります。その中心にあるのは、「安心な社会を支えるエナジー」です。社会の黒子として、しかし確かな存在として、未来のくらし、そしてインフラを支える企業であることを目指しています。

写真:代表取締役 社長執行役員 チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO) 只信一生

国家戦略の「心臓」としての電池をコンソーシアムで未来へ伝承

電池は「エネルギー政策」「データセキュリティ」「ナショナルセキュリティ」の中核を支えています。政府は半導体と蓄電池を「特定重要物資」に指定し、官民一体で国内製造基盤の強化とサプライチェーンの強靱化を進めていますが、私は「脳=半導体」「心臓=蓄電池」と捉えています。だからこそ、私たちの事業は企業活動を超え、国家の産業基盤づくりにも深く関わっています。サプライチェーンの再構築や材料・設備メーカーとの強固なパートナーシップの構築、様々な企業が有する優れた技術を支援する取り組み、大学との産学連携による蓄電池人材の育成プログラムなど、関係地域と共に発展する産業の仕組みづくりを進めています。これらは事業を超え、日本の製造業の未来を次世代につなぐ取り組みです。

当社が掲げる「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」という明確なミッションは、同じベクトルを向いた多くの企業や行政、学術界などから共感をいただき、循環型社会構築に向けた様々な協業やコンソーシアムが立ち上がっています。未来の持続可能なインフラを支える電池産業を進化させ、社会をより快適なものにするためにも取り組みを活発化させていくべきだと考えています。

全員が主人公として使命感を燃やす組織へ

AIの進化でデジタルが社会を覆うほど、人のアナログな力が重要になります。繁雑な業務や危険な仕事はAIやロボットに置き換わり、人々はコミュニケーションを深めながら「幸せの追求」に時間を使うようになると予測しています。電池をつくるにはサイエンスの知識が必要ですが、社会実装には人の心に明かりをともす「アートの感性」が欠かせません。私たちはミッションの実現に向け、社員一人ひとりの“使命感”の向上を図る「使命感本部」や、生命と環境の調和の理想形を森から学ぶ「森の会議」、変革を実践した従業員を表彰する「七道ヒーローズ」など、独自の取り組みを通じて、従業員一人ひとりの使命感を引き出し、混ざり合いながら技術やフィロソフィーを伝承し、支え合う風土を育ててきました。ミッションの実現のために世代を超えて議論を交わし、互いの悩みや挑戦を共有し、自分の役割を自分の言葉で語り、変化を恐れず前に進む力を得ています。

ビジネスフィールドはデジタル領域ですが、根底にあるのは「人間と自然環境が共生するアナログな幸せ」の追求です。人間にしか発揮できないアナログ力こそが大切な財産で、それを引き上げることが私の重要な責務です。当社の人財を見渡せば、そこにはまだ社会に貢献できる可能性を秘めたたくさんの宝石が埋もれていることに気付かされます。その人の輝きこそが私たちの競争力の源泉であり、「価値は人からしか生まれない」。この信念はどれほど技術が進化しても変わることはありません。

世界の変化はますます激しさを増し、時に不安に包まれるかもしれません。しかし私は激変する時世の流れに対する従業員の活躍を見て、これまで以上にミッションの実現に確信を持っています。あらゆる変化の兆しに適応する力を身に付けながら、全従業員一人ひとりが主人公として、未来を切り拓いていきます。

毎年4月の社内イベントで、従業員にミッションに向かう現在地と目指す姿を絵で発表しています。今年の絵は、「挑み続ける仲間」。左下の崖の上には新しい価値をつくっている仲間もいれば、まさに崖を登り切ろうとしている仲間もいて、みんながしっかり支え合っています。さらに眼前には次の価値創出を目指して突き進んでいる仲間もいます。いま、一人ひとりが自分の役割を果たしながら果敢にミッション実現に向けて行進を続けています。この行進は理想郷(右奥)を目指して止まることはありません。

Missionにつづく道「超える覚悟」、予測不能な試練にも心折れることなく、湖を渡るための船を手作りして荒波を超えようとしている、我々の姿を描いたイラスト