第9回:シリーズ『所在管理・動線分析のすゝめ』(2/2)

高精度動線分析で高効率な工場を築く(その1)

高精度な動線分析を可能にする「Quuppa」

データの収集方法と分析方法に関する上述したような課題を解決するためのシステムが「Quuppa」です。

Quuppaは、BLE(Bluetooth Low Energy)をベースとする「専用タグ(ビーコン)」と、指向性アンテナである「ロケーター(受信機)」、そして位置演算エンジンとして機能するソフトウェアを活用した高精度位置測位システムです。フィンランド企業のQuuppa社が開発した仕組みで、パナソニック ソリューションテクノロジーでも、高精度位置測位システムとしてQuuppaのシステムを提供しています(図1)。

図1:Quuppaを活用した高精度位置測位システムの全体イメージ

図1:Quuppaを活用した高精度位置測位システムの全体イメージ

このシステムでは、広い施設内で従業員や機器の位置情報をリアルタイムに記録し、統計的な分析を行います。システムの特徴は、「(1)高精度測位」「(2)高さの検出」「(3)広範囲カバー」という3つに集約することができます。

このうち「(1)高精度測位」では、電波の入射角から位置を演算することで電波干渉を抑制し、最小誤差30cmの高精度位置測位を実現します(図2)。また、「(2)高さの検出」では、1つのビーコンの電波を複数の受信機(ロケーター)で検出することにより、位置を高精度に割り出し、対象物の「高さ」を測位できます(図3)。

図2:最小誤差30cmの高精度位置測位を実現する仕組み

図2:最小誤差30cmの高精度位置測位を実現する仕組み

図3:「高さ」の検出を可能にする仕組み

図3:「高さ」の検出を可能にする仕組み

さらに、「(3)広範囲カバー」では、10mを超える天井高の場所でも受信機(ロケーター)を設置でき、広範囲なエリアを少数の受信機(ロケーター)でカバーすることが可能です(図4)。

図4:広範囲カバーのイメージ図

図4:広範囲カバーのイメージ図

こうした特徴に加えて、Quuppaのシステムを使ったパナソニック ソリューションテクノロジーのソリューションでは、コンサルティングサービスも提供されます。具体的には、パナソニック ソリューションテクノロジーが、ビーコンや受信機(ロケーター)の取り付け作業やデータレポートの作成、分析コンサルティングに至るサービスを、トータルに提供するというものです。これにより、製造ラインにおけるスムーズな動線分析が可能になります。

次回は、このQuuppaのソリューションをさらに詳しく紹介します。

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