第10回:シリーズ『所在管理・動線分析のすゝめ』(1/2)

高精度動線分析で高効率な工場を築く(その2)

工場における人やモノの動線分析を行うことで、業務の改善や効率化に役立てていくことが可能です。ただし、そのためには、「データをどう収集するか」「収集したデータをどう分析するか」といった課題を乗り越えなければなりません。今回は、これらの課題を包括的に解決する「Quuppa」 のソリューションを紹介します。

高精度動線分析を可能にする「Quuppa」

本稿の前回で触れたとおり、「Quuppa」は高精度位置測位システムであり、このシステムを応用することで高精度な動線分析が可能になります。Quuppaの開発元はフィンランドのQuuppa社で、BLE(Bluetooth Low Energy)をベースとする「専用タグ(ビーコン)」と、指向性アンテナを備えた「受信機(ロケーター)」、そして「位置演算エンジン(位置演算ソフトウェア)」で構成されています。

Quuppaを活用した動線分析や所在管理※1 のソリューションを用いることで、従業員や作業者の現在位置、動線軌跡、滞在時間などのデータを用いた各種分析が可能になります。また、パナソニック ソリューションテクノロジーが、専用タグである発信機や受信機(ロケーター)の取り付け作業から、データレポートの作成、分析コンサルティングまでのサービスを総合的に提供します。

今回は、Quuppaを使った動線分析ソリューションの特徴・機能を少し詳しく紹介します。

※1 Quuppaを活用した所在管理のソリューションについては次回紹介します。

なぜ、Quuppaは高精度で位置情報を把握できるのか

パナソニック ソリューションテクノロジーが提供する動線分析ソリューションは、すでに工場の現場で採用されています。特に工場の製造ラインにおいては、以下の3つのメリットが高く評価されています。

  1. 小型軽量の発信機を使うため、場所を選ばず簡単にすばやく設置が可能
  2. 天井が高く、見通しが良い場所では設置する受信機が少なくても測位可能
  3. スマートフォンを使用せずに測位ができるため、工場などセキュアな場所でも活用可能

この3つのメリットをもたらしているのがQuuppaです。

前回も紹介したとおり、Quuppaは、専用タグのビーコンから出力された電波を複数のアンテナを搭載した受信機(ロケーター)で受信し、入射角度から位置を演算します。これにより、最小誤差30cmという高精度な位置測位を実現し、かつ、複数の受信機(ロケーター)で電波を受信することで「高さ」も把握することができます(図1)。

最小誤差30cmの高精度測位 イメージ
高さの測位 イメージ

図1:Quuppaによる高精度位置測位の仕組み
最小誤差30cmの高精度測位(左図)と高さの測位(右図)

図2は、この技術を使った位置測位のソリューションを模式的に示したものです。

図2:Quuppaを活用したソリューションの全体イメージ

図2:Quuppaを活用したソリューションの全体イメージ

※2 所在管理ソリューションについては次回紹介します。

このソリューションは、部品のピックアップ作業などをデータとして可視化したいときにも活用できます。また、高さ10mを超える工場の天井や壁面へも設置することが可能です。

さらに、専用タグであるビーコンで位置把握ができるため、機密保護の関係からスマートデバイスなどの持ち込みが禁じられている工場でも導入が可能です。

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