第5回:シリーズ『AI画像認識』(2/3)

「AI画像認識」導入──間違いのないアプローチ~製造AI画像認識のスペシャリストが直言!~

第2ステップ:システム化の条件評価

システム化の条件評価とは、収集した画像を用いて、ユーザーが目的とするシステムを本当に構築できるかどうかを評価するステップです。

例えば、製造現場での「モノの分類」のAI画像認識を使い、業務の効率化に役立てようとした場合、以下のようなシステム化が考えられるでしょう。

  1. コンベアを流れる段ボールに「危険物」ラベルが貼ってあるかどうかをチェックして、危険物ラベルがないものを自動で抜き出す
  2. 「モノの種類」をAI画像認識に判断させ、処理を自動で分岐させる
  3. キズなどの条件を検知して、不良品である可能性の高いモノを何らかの方法で他から選り分け、人によるチェック、対応を求める

第1ステップでは、対象物がAIで認識・判別できるかの評価を行いましたが、システムに組み込んで利用するには不十分です。例えば、1つの画像を認識するための処理時間が1秒であるのに対し、コンベアの速度が速く、1秒間に2個の段ボールが通過してしまっては、処理が間に合いません。
または、ラベルがカメラと逆側に貼ってあるかもしれませんし、複数の段ボールが積まれた状態でラベルを隠しているかもしれません。現場で使える頭脳に仕上げること、そして、その頭脳を使ったシステムとして基本的な動作要件が満たされることを確認し、不足する場合は対策して検証するのが、第2ステップです。

例えば、カメラと逆側に貼られたラベルは逆側にもカメラを設置すれば、認識できるようになりますが、画像認識する枚数が倍に増えてしまいます。撮影方向を斜めにすれば、同時に複数の面が見えるようになりますが、画像認識の頭脳は、「斜めでも認識できる頭脳」にブラッシュアップする必要があります。
箱が重なって見えないケースは、「箱は重ねない」というように、現場の運用自体を変更するのが適切かもしれません。

こうしたシステムが「本当に構築できるのか」「仮に構築できたとして有効に機能しうるのか」「有効に機能しないとすれば、何をどうするのが適切なのか」といったことを明確にするのが、システム化の条件評価ということです。

このステップでは、収集画像を教師データとして学習モデルを生成し、評価します。具体的には、次のような流れになります。

  1. 現場の画像
  2. 大量の教師データの取得
  3. 学習モデルの生成
  4. 学習モデルの評価

学習モデルを生成したら、認識させたい新たな画像を使ってAIでの認識精度をチェックしてモデルを洗練化させていきます。

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