~第5回~ シリーズ『AI画像認識』(3/3)

「AI画像認識」導入──間違いのないアプローチ~製造AI画像認識のスペシャリストが直言!~

第3ステップ:システム化による効果の評価

最後の3つ目のステップが、「システム化による効果の評価」です。

システム導入の目的はシステムを使って、例えば、人件費を削減したり、労働者の作業負荷を軽減したりすることです。そのため、当初想定したシステムが、予定どおりに動作したとしても、この目的が達成されなければ意味がありません。

第3ステップは、この目的が達成できるかどうかを検証するためのステップです。

ただし、この評価を行うには、実際に現場でシステムが稼働した際の変化を、導入前と比較する必要があります。そのため、このステップは、AI画像認識を使ったシステムの運用を始動させたのちに行うことになります。システムの運用開始後、AIによる画像認識精度が当初の期待値を下回ることがあります。また、運用中に認識すべき対象が変化したり、広がったりする可能性もあります。

ゆえに、システムの運用に入ってからも、常に問題を整理し、AI画像認識の最初のステップに立ち戻って、課題の解決を図っていくことが重要になります。

3つのステップについて、それぞれのスコープを比較すると、図3のようになります。

第1ステップでは、システムを実現する上で最もクリティカルな課題である画像認識が適切に行えることの検証。第2ステップは、その画像認識で出力された信号を利用して、想定する機能が期待する時間内に実行できることの検証。そして、第3ステップは、その実装されたシステムにおいて、期待する効果が得られることの確認です。

画像認識を使ったシステムを検討する場合、「対象物が認識できるか」というポイントにばかり注意がいってしまい、対象物が何となく認識できた時点で、もうシステムができ上がったかのように勘違いしてしまう方が多いようです。

AIによる画像認識は、あくまで、全体システムの中の単に1パーツにしか過ぎません。

「対象物の画像認識ができる」というのは、システム開発の、ほんの最初のハードルをクリアしたに過ぎないくらいに考えてシステム化に取り組むのが賢明でしょう。

図3:3つのステップの全体像

図3:3つのステップの全体像

理想はAI育成の「DIY」

画像認識を現場に導入する際に、上記3つのステップを踏むようにすることで、AI画像認識で何を目指すべきかのゴール設定と、それに向けて何を行うべきかが明確になります。結果として、AI画像認識の導入プロジェクトがとん挫したり、期待と実際とのギャップが大きくなったりといったリスクを抑えながら、AI画像認識のパワーを現場の業務効率化や生産性向上に生かす道筋を適切に描けるようになるのです。

AI画像認識は、業務効率化や生産性向上のためのシステムを実現する要素技術です。その精度を高めるには前準備を入念に行う必要がありますし、前準備の段階からAI画像認識で改革・改善を図るべき業務領域を決めて、アプリケーションを正しく設計する必要があります。

また、これらの作業のすべをベンダーに丸投げしてしまうのは、良策とは言えません。少なくとも、画像認識の“頭脳”を育成するところは、現場の業務のことを最もよく知るユーザーの方が自ら担うようにすることが大切です。AIは、育てることでどんどん力を増していく技術です。その特性を、現場の生産性向上や業務効率化にフルに生かしていくためには、現場で働く方々が、AIの頭脳の育成を自ら行うこと──つまりは、頭脳育成の「DIY(Do It Yourself)」を実践することが、最も合理的で、AIの能力アップの速力を上げる最良の方法と言えます。

このように言うと、「現場の担当者には、AIやITの知識はない。AIの頭脳を育成するなんてできるわけがない」と思われるかもしれません。

確かに、通常であればAIの頭脳の育成は専門家でなければ困難でしょう。ただし方法はあります。その方法の1つが、当社(パナソニック ソリューションテクノロジー)が提供しているAIプラットフォームを活用することです。

当社では、前述した3ステップの最初のステップから、ベンダーとユーザーが一致協力して取り組みを進めることを提案しています。画像認識の可否評価やシステム化の条件評価、効果の評価までをコンサルティングして、お客様が自力でAI画像認識の現場への適用を推進できるようなAIプラットフォームとサービスを一体化させて提供しているのです。次回は、そのソリューションの具体的な内容と、それによってどのようなことが可能になるかをご紹介します。

―― 監修 ――

中尾 雅俊

中尾 雅俊
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社
AI・アナリティクス部 ソリューション推進課 主事

矢嶋 博

矢嶋 博
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社
産業IoT営業部 ソリューション推進課 主事

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